【感想・ネタバレ】光のとこにいてねのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでいて何度も泣いてしまった。光のとこにいてねという言葉がとても綺麗だけれど儚くて苦しい気持ちになった。その分、ラストでは光がいっぱい降り注いでキラキラしている表現に胸がいっぱいになった。

芳しくない環境で強く生きていた、一見飄々として見える果遠が「あしたが来るのが怖い」「大丈夫。何とでもなる。今までだってそうだったじゃない。」と自分に言い聞かせている場面が本当にしんどかった…

一方結珠は兄の言う通り変わったなと思った。個人的には果遠に似てきたな〜と思った。

果遠と結珠が惹かれ合ったのは、幼少期に互いの知らない世界で生きていた正反対の者同士が出会った衝撃故かなと思う。けれど、それが自然と互いを補い合う関係になっていたのがいじらしくて美しかった。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2023年度の本屋大賞候補作で第3位だったという小説。だから期待を持って、この小説を読み始めた。ただ読んでいる途中で、なんかこれは期待し過ぎたかな?と思ってしまった。確かに面白いんだが、凄く感動して思わず泣きそうになるとか、楽しくてついつい笑顔になってしまうとか、いわゆる胸を激しく揺さぶるような小説とまではなってないように思えた。
それが最後の最後、それまでの全てが伏線だったのかと思わせるような終わり方に思わず感動を覚えた。
ほんと、いい小説だと思う。

主人公は、「小瀧結珠」と「校倉果遠」の2人。物語の始まりは、この2人が7歳の時の運命的な出会いをした時から。
いわゆる良いとこのお嬢様である「結珠」と貧しいボロアパートに住む「果遠」。
結珠がそのボロアパートの外で上を見上げた時、5階のベランダから隣のベランダに身を乗り出す果遠を見つける。思わず「危ない」と言って両手を高く抱き抱えるように上げた「結珠」と、その声を聞いて地上を見つめる「果遠」。その時2人は互いが互いを特別な存在と認めたのだろう。2人は「秘密の特別な友人同士」となった。
にも拘らず、何回か会った後2人は別れる。死んだインコの「きみどり」を土に葬ってやろうと、果遠がスコップを探しに行く時言った言葉、「結珠ちゃんはそこで待ってて」『そこの、光のとこにいてね』。
「果遠」にとって「結珠」は、常に『光のとこに』いる友だちなんだろう。でも結珠はママに、強引にその『光のとこ』から引き離された。結珠が来週謝ろうとした、その来週は来なかった。

2回目はその8年後、15歳の時。結珠が通うお嬢様学校に果遠が入学してくる。そして「秘密の特別な友人同士」という関係が再び生じる。しかし今度は果遠の都合でまた別れることとなる。果遠のママが借金と男から逃げようとし、果遠も連れていこうとする。果遠は1人で生きていくことも考えるが結局ママを捨てられない。隣の住人チサさんが言う「お前は強くてやさしいから弱い母ちゃんを捨てられない。捨てるのはいっつも弱いほうなんだ」。だから果遠は結珠に願う。「動かないで」「お願い。十数える間だけ、そこにいてーー『そこの、光のとこ』にいてね」と。結珠はそこにずっと動かないでいた。「どうして、そんなこと言うの」と思いながら。

3回目は29歳の時。互いに結婚しているが、それぞれに色々な問題を抱えている。「藤野結珠」は小学校の先生をしているが、クラス崩壊の状態となり、それが原因でノイローゼになった。そして休職し夫の知り合いが世話してくれた本州最南端の町の空き家で療養している。その町のスナックバーに、世話してくれた人と夫婦共々いっしょに飲みに行った時、その店のママが「海坂果遠」だった。そして、みたび「秘密の特別な友人同士」となる。でも、何故?「秘密」なのか?たぶん、7歳の時は「結珠のママ」に知られないように。15歳の時は「果遠の生活環境を同級生たち」に知られないように。じゃあ29歳の時は?
それはたぶん、それぞれの夫に「夫以上に掛け替えの無い人が存在すること」を知られたくないから。だから結珠が初めて真正面から母親と対峙しようとした時、果遠はいっしょに行くと言い、結珠はいっしょにいて欲しいと思う。但し、それぞれの夫にはナイショで。それは夫ではダメなのだ。でも結珠の夫、藤野素生は知っていた。妻にとって「果遠」は特別な友だちだということを。その上でそれを受け入れた。
一方の果遠の夫、海坂水人は果遠を「鶴の恩返し」の「おつう」のように、いつかは夫を置いて何処か知らない所へ去っていく女だと思っている。結珠と果遠が2人きりで松本へ行った時、水人はそのまま妻が帰ってこないかもと思った。水人は知らない、果遠は捨てない。果遠は強くてやさしいから捨てられない。捨てるのはいっつも弱いほう、つまり水人のほう。娘の「瀬々」を連れて。果遠と水人は離婚する。娘の瀬々は強くてやさしいから弱いパパを捨てられない。果遠は1人で生きていく。強いから。
でも本当に果遠は強いのか?
「光のとこにいてね、と言ったわたしが、結珠ちゃんに影を落としてしまうわけにはいかない。」という理由で、果遠は結珠から離れようとする。捨てようとしている。でも、捨てるのはいっつも弱いほう。果遠は言う「目が覚めたら、藤野のところに帰ってねーー光のとこにいてね」と。

でもそうはいかない!話はここで終わらない!真に強くなった「結珠」は、いつまでも「光のとこに」はいない!
7歳の時、果遠を捨てたのは「結珠」。果遠には追いかける術が無かった。15歳の時、母ちゃんを捨てなかった「果遠」は、結果的に「結珠」を捨てた。つまり果遠は「結珠」に対しては、弱かったのだ。そして追いかけて行けなかった「結珠」も弱かったのだ。
しかし、29歳の「結珠」は強くなった。そう、今度こそ「結珠」は自分の意志で「光のとこ」から離れ「果遠」を追いかけて行く!
強がってはいるが、本当は弱い「果遠」を元から本当に弱い「結珠」が互いに強く生きるために。「秘密」の友人関係を、公然の友人関係とするために!

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2024年06月04日

Posted by ブクログ

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感想
読んでいて最後の方は色々思うところがあった。なぜ別れるの?そして、再び?結局親と同じことを繰り返すのか?優しさなのか?全てを明らかにすることは必ずしも良いことなのか?二人は惹かれ合いつつも磁石のような関係なのか?

あらすじ
家がお金持ちで母親に習い事をたくさんさせられている結珠と片親で母親の影響で添加物を含むものを避けるように育てられた果遠。結珠の母親が、団地の男の元に週一回通う30分間に果遠と出会う。小学生の二人は友達になる。ある日、果遠は結珠に光のあるとこにいてねといって待ち合わせするが、結珠の母親の都合で、団地に行くことがなくなり、会わなくなる。

8年後、高校になった結珠は、私立高校に通っていたが、そこに外部生として入ってきたのが果遠であった。結珠は相変わらず母親に気を遣い、大人しく生活していた。果遠は母親の考え方から決別し、バイトを掛け持ちして生活するようになっていた。また、隣人のチサと仲良くなり、相談にのってもらっていた。二人の関係が上手く行き始めた頃、母親が店での横領がバレたと言って夜逃げをする。二人の二度目の別れだった。

10年後、結珠は29歳で小学校の教師をしていたが、心労がたたり、夫と田舎に移住した。現地の空き家を紹介してくれた社長の計らいでスナックに連れて行ってもらうが、そこのママが果遠だった。果遠の方も旦那の家と上手く行かず、結珠の方も年の離れた弟との関係を持て余していた。二人が再び近づき始めた頃、弟が出生のことで悩んでおり、自分への母親の態度も明らかにしたいことから、結珠は果遠と一緒に母親に真相を確かめにいく。そこから二人の運命が再び大きく動く。

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2024年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ものすごい何かが起きるわけでもないのに最後すごく胸に迫るものがある。
でも色んなこと妥協して生きてる現実の人間としては、あんな理由で離婚して子供を相手に譲るというのは、なーんか冷めてしまう部分も。

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2024年05月21日

ネタバレ

自由

結珠(ゆず)も果遠(かのん)もまるで鳥籠の鳥のよう。作中に鳥がよく出てくるが、「自由」を象徴しているように感じられた。
子供は親の管理下で不自由、思春期も子供か大人か微妙な立ち位置で子供のように伸び伸びはできず制約もある、大人になれば配偶者や子供など家族で自由にはいかない。人生の不自由さと自由との葛藤が描かれていると思いました。
飛躍しすぎかもしれないが、「きみどり」はゆず(柚子)のこと?未熟な果物でかのんのこと?最後には結珠(ゆず)も強くなるし、果遠(かのん)も旦那の家族に向き合って、鳥籠から抜け出したのかもしれない。「アイタイ」という「気持ちだけを持って行動しなかったら」、きみどりのようになっていたのかもしれない。「あなたの鳥籠はなんですか?」「いつ鳥籠から抜け出しますか?」と訴えているようにも思える。
「光のとこにいてね」、女性目線で描かれており、男には分かりずらいところもあるけれど、綺麗な言葉と余韻の残る文章で書かれていて、読み応えのある一冊でした。

#切ない #深い #じれったい

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2024年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

境遇の異なる二人の女の子の、出会いと別れ、再会のストーリー。
二人それぞれの視点からそれぞれの人生について書かれているので、色んな要素が盛り沢山。
なぜ二人がそこまで惹かれ合い依存し合う関係になったのかがいまいちしっくり来なかったのだが、人間なんてそんなものなのかもしれない。
恋愛と言い切ってくれた方がまだ納得できたかも。
いや、でも人の気持ちなんて言葉で説明できるものでもないか、と思ったり…。
特に第三章では一気に登場人物も増えて物語も広がりを見せるが、他全ては結局二人がお互いのことを大切に思う、そのことを引き立てるためだけに存在しているかのような印象。
個人的にはあまり気持ちの良い終わり方じゃなかったけど、これだけ全力で想いあえる人に会えたというのは見方によっては幸せなのかもしれない。

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2024年05月23日

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