あらすじ
プーチンはなぜ「神の代理人」のように振る舞えるのか?
「力」か「自由」か――歴史の変革時に常に「力」を選び続けてきた
ロシアの思考回路をロシア正教会の歴史からひも解く!
これまで日本には、ロシア正教会の教えに裏打ちされた
ロシア人のものの考え方を知るための本がありませんでした。
本書は、日本で初めてのロシア人の思考回路を解明した本です。
この本の目的は、不可解に思えるロシアの行動の中にある必然性やロジックを認識し、
ウクライナ侵攻の深層を浮かび上がらせることです。
少し前の話になりますが、ウクライナ侵攻後、
ロシア正教会のキリル大司教はプーチンに祝福を与えました。
10月3日のプーチン大統領70歳の誕生日にも祝福を与え、
「プーチン氏はロシアを統治するよう神によって定められている」と主張しました。
キリル大司教の言動は日本人には不可解ですが、
ロシアとロシア正教会の歴史を知るとキリル大司教の行動原理がわかるようになります。
ロシア正教会によって培われてきた強力な統治者を渇望する気持ち、
モスクワこそがキリスト教の中心地とする考え方、政治と宗教の強い結びつきなど、
ロシア人の宗教観、統治者観を知れば、
プーチンが神の代理人のように振る舞える背景や、
ロシア人が西洋に向ける複雑な視線を理解できるようになります。
著者は30年以上にわたって中世ロシアを研究し、
ロシア人の精神史に詳しい三浦清美・早稲田大学教授。
本書は、「この不幸な戦争に一刻も早く終止符を打つための一助となりうるものを」との
思いで書かれた、ロシアを深く理解するための必読書なのです。
はじめに ロシア人インテリゲンツィアの声
第1章 「ルーシの世界」のはじまり
第2章 キエフ・ルーシの改宗
第3章 統治者は「地上における神の代理人」たりえるか
第4章 「ロシア」の誕生
第5章 ウクライナの誕生
第6章 宗教的原理主義の行方
おわりに
ロシア、ウクライナ 略年表
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今日本で手に入るロシアによるウクライナ侵攻の背景解説書としては最良の書だと思う。もちろん著者は軍事の専門家ではなく歴史学者なので、軍事的・国際政治的な解説は出てこないけれど、この事態に至るまでのロシアとウクライナの思考の変遷が辿られている。ここを理解しないと、西側世界の我々から見たロシアの「話の通じなさ」は怪奇現象でしかない。
ロシアはウクライナを気安く仲間(子分?)扱いするけど、ウクライナがロシアに対して仲間扱いしないで欲しいと反骨心を抱いてきたのは、キエフおよび全ルーシ総主教座の継承問題と帝政ロシア時代におけるコサック弾圧が理由だと思っていたけれど、それだけでなく、西側のキリスト教に対する態度の違いがあるというのは盲点だった。ということは、総主教座の継承問題がなかったとしても、所詮ロシアにとってウクライナは正教世界の裏切り者となる。スラヴ世界にとってのキリスト教の始まりは他でもないキーウだったはずなのに…。あまりにも根深い問題でやるせない。
Posted by ブクログ
ロシアは、日常と非日常が並立しつつ、モダンとも併存しだだすのかな。ルネッサンスのルネッサンスという感じか。イワン雷帝の悪をも飲み込むというのか。
ゾロアスター教のことは言及していなかったが、ユダヤ系ハザール人のことは書かれていたな。
佐藤優さんが、プーチンは、北朝鮮の家族主義的な国家運営に影響されつつあるのでは、と話していたが、その根っこに関連する話があったな。ピザンツ皇帝と霊的父親像をダブらせるのかな。
ウクライナのクライは、分かつが、語源だと。納得できる、係争の地なのね。