【感想・ネタバレ】完全解読ヘーゲル 『精神現象学』のレビュー

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Posted by ブクログ

暇な時期があったので、ヘーゲルの『精神現象学』を読もうと画策するも、一番わかり易いと言われる長谷川宏の訳本を読んでも、全く歯が立たず。そこで、名著『ヘーゲル・大人のなりかた』の著者の西研と、竹田青嗣の解説書である本書の助けを借りることになる。

元ネタの訳文の雰囲気をかなり残しながらも、大事なところを選んでギュッと圧縮して、うまくまとめている。適宜、砕いた解説文が入っていて、だいぶわかりやすくなっている(それでも後半からは、段々疲れてくる)。タイトルの様に「完全読解」したとは思えないが、気になったところだけ書いておきたい。

まず、有名な「自己意識」の「ストア主義・懐疑主義・不幸の意識」の部分。社会と関わらずに、自分の中にこもってあれこれ考えている限り、右往左往した挙句、結局ほんとうの意味での幸福感は得られないよ、という主張。確かにこんな困った人いるな、自分も昔はこうだったなと、具体的に記憶が思い浮かんでくる、短いけれど面白いところ。

「理性」の章の後半部分。いつまでも実現できない(というか、完全に実現してしまうと逆説的に道徳性がなくなってしまう)「純粋義務」をベースに人間の行動を縛ろうとするカントの議論は、ここで批判されている弱点があるだけでなく、そもそも普通の人には無茶ぶり。むしろ、個々人は自分の認識の絶対的な正しさは証明できないけれども、「良心」にしたがい、勇気を出して決断して行動しよう、そして社会からフィードバックをもらい、「ほんとうの良いもの」をみんなで目指そう、というヘーゲルの議論の方が、何が正しいという確証が無い現代社会では現実的だと思うし、特に、評論ではなく実践・結果を求められる、ビジネスに関わる人にとってはそうだと思う。

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2014年03月31日

Posted by ブクログ

電車の中でも読めるように、という狙いで書かれているらしいのだけれど、やはり「精神現象学」は難しいよ。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ヘーゲルの『精神現象学』の解説書です。本書の後に刊行された『超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』』(講談社現代新書)とおなじく、ヘーゲルの叙述を二人の著者がわかりやすくパラフレーズしています。

『精神現象学』における精神の歩みを、近代的な「自由」にめざめていくプロセスとして読み解くという著者たちの立場から、ヘーゲルの錯綜した叙述の意味を統一的に解釈しています。

もっともわたくし自身は、竹田の『人間的自由の条件』(講談社学術文庫)におけるヘーゲル解釈には問題が含まれていると考えており、本書にも同じような問題があると感じています。もう少し具体的に述べると、竹田はカントが「超越論的」と呼んだ問題の哲学史的な意義を把握していないのではないかという疑問をいだいており、それが本書におけるヘーゲルのカント批判についての解説にも当てはまるように感じています。

とはいえ、本書が『精神現象学』の入門書に求められる役割を十分に果たしており、読者をヘーゲル哲学の中核へと連れ出す優れた手引きであることは、疑いの余地がありません。

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2018年03月08日

Posted by ブクログ

分かりやすくてなかなか良かった。カント批判も、なるほどと思わせるが、ぼくとしてはやはりカントのほうに心が向く。

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2015年10月17日

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