あらすじ
《俺たちのアイドルは、レーニンじゃない。レノンだ!》
ソ連時代、ロック少年だった画家スラバと結婚し、ロシアに暮らし始めて5年。
そこに暮らす人々は破天荒でやけくそに明るい。
戦争が始まって、ロシアの人々は何を思う?
──ロシア暮らしの「いま」をリポートする。
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著者は、無類のビートルズファンである画家のスラバと結婚し、2018年からイルクーツクに暮らす。
西側の情報が入らないソ連下で、ロック少年として暮らしたスラバは、ペレストロイカをくぐり抜け、激変する社会を生き抜いてきた。
彼の波乱に満ちた人生と、自らの人生を重ねながら、別の価値観で動く社会のなか、人々はどのように暮らしているのか、アートや音楽や文学は、彼らをどのように支えているのか。
〈イルクーツクの人々の本音や生き方に寄り添う、海外事情エッセイ集〉
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スラバの数奇な半生を主旋律とし、そこに私の半生を対旋律のように織り交ぜつつ、両者が響き合うよう試みた。ドラムやベースの響きも聴こえてくるように、社会背景も適宜盛り込んだ。曲の合間には、個性あふれるスラバの友人たちの物語も、間奏のように挟み込まれている。──「はじめに」より
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【目次】
■はじめに
01.スラバの部屋
■1……シベリア、イルクーツク、Z通り一番地
■2……ビートルズで結ばれたきずな
■3……愉快でマイペースな仲間たち
02.ソ連に生まれ、ロシアに生きる
■4……サバイバルの時代
■5……ペレストロイカ・ノスタルジー
■6……夢見がちな野心家たち
03.二一世紀のビートルズ
■7……自分らしい表現を求めて
■8……遠ざかるソ連ロック・ビート
■9……過去との出会い
■10……戦争の暗雲
■あとがき
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Posted by ブクログ
好著です。
新聞の書評で おもしろそうだなぁ
と 思っていた一冊
思っていた以上に
深く 興味深く 読ませてもらいました。
その土地に 暮らしてこそ
見えてくる 風景がある
聞こえてくる 意見がある
考えられる 思考がある
まさに 本書は
そのもの ずばり
体制に「風穴」を開ける
アイコンとしての ビートルズの音楽(思想)
が 見事に描かれています
ロシアが… とか
ウクライナが… とか
ひとくくりにしては いけない!
改めて 思わせてもらえる一冊です
Posted by ブクログ
米国−(日本−)中国を経てロシアシベリアイルクーツクに流れ着き?そこで知り合った芸術家/ミュージシャンと結婚した著者が見たロシア辺境の人々の暮らし。
ソ連時代でも首都モスクワから遠く離れたシベリアは、ビートルズ他の西側の音楽に触れられる場所で、(辺境であるがゆえに?)本場以上に熱心なファンが生まれた。
貧しく自暴自棄なようで人間味(と酒と音楽の)ある暮らしは、ある意味人間生活の原点のようにも思える。
最終章のウクライナ侵攻以降の生活はそれまでとはガラッとトーンが変わり、この戦争の不条理さを改めて思わされる。
Posted by ブクログ
ロックは、世界共通言語だ。シベリアのイルクーツクにいる、ビートルズ好きな画家を夫に持つ作家が描いたエッセイ。夫と自身の幼少期から今にいたるまでの、ホ身の回りの出来事や時代背景、家族や友達にまつわるエピソードなど、過ごしてきた世界はちがうのに、二人が音楽や芸術といった共通の趣味をもって いるので、国や文化を乗り越え直ぐ仲良くなれた。
ウクライナとの戦争がはじまってからのロシアの地方都市の現状など、日本にいるとわからないことも書いてあり、 独裁政治の恐ろしさを感じた。1990年代のソ連崩壊前後のロシアは、ひどかったんだなー
離婚する人やアルコール中毒の人や治安や政治体制など、思って以上にオソロシア!?だった。その結果、辛い経験をした年配者はしょうがなく戦争賛成?若い人のなかには反対もいるよーだが、声を出せない状況らしい。音楽や芸術とかなんかが、世界平和を呼び込め! 独裁政治もロックンロールでなんとかなりませんかね?