あらすじ
2020年大統領選で注目された激戦区ペンシルべニア州の小さな町ヨークに住み始めた記者。そこで目にしたのは、お互いに交わらない人々──黒人と白人、貧富、共和党と民主党、都市と郊外。「分断」から「分離」へと深刻化したアメリカ社会の亀裂の理由を探る。
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Posted by ブクログ
朝日新聞の記者が主にワシントンを取材するために駐米していた時にあえて、ペンシルバニア州ヨーク市に住んでアメリカ国内のマイノリティと白人富裕層の社会的断絶を様々な層の人々を丹念にインタビューして現実をあぶり出したルポルタージュ。
学術的な調査を行った訳ではないし、インタビューする人数や対象も限られるのであくまで著者個人的な範囲内での印象のまとめみたいな感じになるが、その分新聞記事の様に気軽に読める。
ちょうど著者がインタビューを続けていたのは2020年のCOVIDパンデミック最中からトランプの一期目が終わり再選の狙うトランプ対バイデンの頃。その当時アメリカのいち地方都市で何が起きていたのかがよくわかる。自分はアメリカは”人種のるつぼ”と昔学校で習った世代だが、今は”るつぼ”などではなく”サラダボウル”と呼ばれる。人種間で交じり合わないからだ。住むところも、行くレストランも、参加するイベントも、支持する政党も異なる同じ市民達。そこから生まれる意見の相違、主張の違い、そして対立。唯一の希望は若手世代がそんな社会はおかしいと声をあげ始めている事か。
日本も様々な外国人達が在住する様になってきているし、対岸の問題ではない。そこまで貧富の差だったり、人種間の確執だったりは無いように見えるが、それも自分の住む世界が違うからかもね。。