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Posted by ブクログ
古来に突然現れた謎の巨大な木。地球上には存在し得ない構造、一体何によって何のために生まれたものなのか、、?
舞台となる時代が異なる5つの短編集になっていて、人々と木の関係性や生き方の変化に注目です。
1つ目は原始的な世界で、木を中心とした信仰の中で生き、祈りを捧げる少女の話
2つ目は木の上に建つ天文台で星を観察することに全てを捧げる青年の話
3つ目は国の危機に、生まれながらに木を中心とした信仰の拠り所となった少女が立ち向かう話
4つ目は人生に絶望した配達員の男が、木に関する研究によって時代が変わる瞬間を目の当たりにする話
5つ目は科学技術が限界まで進み、人々が退化し機械化していく中で、人間らしい姿を取り戻そうと奮闘する男女の話(木の真相にも辿り着きます)
1〜3話までは古代〜近現代まで4、5話は近未来〜という時間軸に沿った話で、特に未来の姿は科学技術の発展によってもたられる弊害について考えさせられます。その時代ごとの建物や風景などの描写によって作り出される映像が壮大で、実写化したら面白そうだなって思います。
この小説はどの短編も人はなぜ生きるのか、生きる意味、宿命、何のために生まれたのかといった存在意義について考えされられる話だと思いました。明確な答えはないので難しくて、読むのに苦戦しましたが、自分の存在理由を信じ、それを全うしようとする登場人物たちの姿に心を撃たれました。