あらすじ
元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。/【目次】天地揺らぐ/蔵の中/分かれ道/幾山河
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Posted by ブクログ
前半戦は時代劇推理小説みがあって若干求めていたものと違うかな…となりましたが、後半戦慶喜に会いにいくために京に行く道中歴史小説みが増して良かったです。
茨城県は出身地でもあるんですが、どこか天狗党含めタブーとされているイメージがあるのか地元の歴史に関わらず知っている人が少ない印象があります。しかし、その一方で県内には天狗党ゆかりの場所も多々あり…前に住んでいた鹿行地域にも天狗党員の墓がひっそりと林の中にありました。知らないところで歴史は繋がっていると思う反面、知らない歴史が底には山ほどある。この小説に興味が湧いたのもそんな天狗党のひっそりと佇んだ墓を見てからでした。
登場人物達が本当に描かれているような人物だったかは後世を生きる私達には分かりません。現に天狗党に対しても色んな説があるように(非道だったと言われるが、丁寧に埋葬してあったり)人は一面では計りきれないと思います。
フィクションだとしても、虹の虹の涯には何があるのか。深く考えさせられました。
Posted by ブクログ
安政江戸地震で家屋の下敷きになり死んだとされる藤田東湖。「天地揺らぐ」。
天狗党西上中、各藩との戦いの後、瀕死の重傷者の腹を切り裂く〈化人〉。「幾山河」。
「蔵の中」「分かれ道」。
小四郎と穂継のコンビが良いけど、天狗党の末路は分かっているので辛い。
Posted by ブクログ
舞台は幕末の水戸藩。まさかの天狗党、藤田小四郎が主人公の連作短編ミステリ作品集。マニアックやなぁ。
絶望的な行軍の中で、次々と隊士が殺されていく。犯人の目的は何なのか?Whyダニットが重要になってくるタイプのミステリ作品かな。
ヤマフーの『魔群の通過』や、吉村昭の『天狗争乱』が好きな方なら楽しめるかと思います。
幕末の水戸藩は攘夷運動の先駆けとなって、脱藩した藩士が井伊大老を暗殺したり、大きな存在感を持っていたのですが、その後、守旧派と改革派(天狗党)の内乱状態に陥り、有能な人材がことごとく死んでしまったという凄惨な歴史を持ちます。
優秀な人材が殺され過ぎて、明治政府の高官には水戸藩の者は一人も入らなかったのだとか。
Posted by ブクログ
初めの三編は謎解きのようで、まだ読めた。最後の長編は、歴史小説(+謎解き)という感じ。
筆者のくせなのかもしれないが、「たまさか」と言う言葉が頻出して、妙に目障り。
また、「天地揺らぐ」の消防の記述も、作品世界に入り込みたいのに、「現在と異なり~」と言われると急に現実に引き戻され、興醒めであった。