【感想・ネタバレ】戦略的コミュニケーションと国際政治 新しい安全保障政策の論理のレビュー

あらすじ

戦略的コミュニケーションは、情報化と価値外交の時代の新たな政策課題。言語、行動(あるいは非行動)、イメージやシンボルを用いて、自分の政策目標の達成の助力になるように、相手の行動や態度を変更させることを目的とした外交・安全保障政策の実施を指す。情報通信技術の進展に伴い、外交・安全保障も政治社会におけるコミュニケーションとその影響をよく理解し、変化に適応する必要がある。だが残念ながら日本では十分に理解されていない。本書は、戦略的コミュニケーションを、理論的・歴史的、公共政策的視野にもとづいて第一人者が解説する初めての書である。

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Posted by ブクログ

戦略的コミュニケーションとは、「外交・安全保障政策の達成に向けて、言葉や行動、シンボルやイメージなどを意図的かつ総合的に用い、対象とする相手の行動を変更せしめるべく作用を促す手段」である。

非常に明快な定義であるが、その役割の幅広さや歴史的な経緯のひもときを読んでいくと、だんだんよく分からなくなっ
ていった。

この行動は戦略的コミュニケーションの一環として行われていると考えるべきなのか、それとも(後付けで)戦略的コミュニケーションの文脈として、この行動をこう解釈できると捉えるべきなのか。

外交、軍事、経済等々の活動には、その直接的な行動の作用の他に、その活動がもたらすメッセージという付随的な意味あいがあるが、戦略的コミュニケーションはその不随的な意味を従ではなく主として位置付け、戦略的にそれらの活動を結びつけると単純に理解したが、外交、軍事、経済等々のそれぞれの活動そのものもそんな単純にうまくいくわけではないため、戦略的コミュニケーションときれいに表現しても、そんな簡単ではないのではと感じた。

とは言いつつ、本書を読んで、戦略的コミュニケーションという概念に深い論点というか考察する内容があるということだけは理解できた。

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2023年05月05日

Posted by ブクログ

戦略的コミュニケーションという概念がどのように生まれ発展してきたのか、そして各国が現在どのように取り組んでいるのかということがわかる。
戦略的コミュニケーションは自らの政策目標の達成の助力となるように言葉、行動、イメージやシンボルを用い、相手の行動や態度を変更させることを目的とした外交・安全保障政策の実施のことで、安全保障政策の中核に位置づけられるべきと主張。機能としては構築、防衛、レジリエンスの3つがある。情報通信技術の発展、価値が国際関係に持つ重要性の増大、既存のリベラル秩序の揺らぎが戦略的コミュニケーションに注目すべき要因となった。
ナラティブとは現在の状況から未来のあるべき状況を指し示すもので、聞き手に戦略を理解させその妥当さを説明するもの。戦略は常に構築を含むもので、その手段が戦略的コミュニケーションであり、戦略ナラティブを通じて国際秩序を形成する。中国の夢もナラティブ、FOIPもナラティブである。
ハイブリッド戦の中での戦略的コミュニケーションとしてイギリスの防衛的な戦略的コミュニケーションが取り上げられている。
FOIPの概念が広く西側と呼ばれる国々などに受け入れられたナラティブになったのは安倍晋三の力か、その意味では大したもんだなと思う。
戦略的コミュニケーション、情報を重要視していた孫子に通じるところがあるなと感じる。
もともと海自がやっていた遠洋練習航海に加え、最近はインド太平洋方面派遣訓練を頻繁に実施していて、これは戦略的コミュニケーションだと思うんだけど、どのオーディエンスにどのようなメッセージを発信しているのか、実はあんまりよくわかってないのでそこらへんも今後は勉強したい。

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2024年09月03日

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