【感想・ネタバレ】ヤマケイ文庫 朝日連峰の狩人のレビュー

あらすじ

名狩人であり朝日連峰(山形県)のブナ林を守る環境保全活動にも尽力したことなどでも知られる志田忠儀さん。
氏の狩猟・採集や山暮らしにまつわる言葉がちりばめられた名著『朝日連峰の狩人』が文庫化!

山菜・キノコ採集やイワナ・ヤマメ釣り、ツキノワグマ狩り、キツネやテンやウサギなどの罠猟。
山中で出会ってきた動物の行動についての興味深い考察、遭難にまつわることなど、長年の経験に裏打ちされた含蓄に富む言葉を随所で読むことができます。

出版当時75歳の志田さんの話は30年の時を経た今でも色褪せず、狩猟者をはじめ動物や自然に興味がある人にも響く言葉が満載です。


■内容
解説
まえがき

◆第一章 山暮らし
狩人とマタギ/自然とともに暮らして/達人による釣りのコツ

◆第二章 クマ狩り
昔からの巻き狩り/クマの弱点とクマ撃ち/大型動物が増え続ける/クマの習性と好物/クマの胆とクマ料理/狩人たちの仁義

◆第三章 ワナと動物
ワナを仕掛ける/天ぷら好きのキツネ/テンやタヌキたち/アナグマとウサギの肉/小動物たちの習性

◆第四章 山の番人
遭難は常識外の行動から/予測できない雪崩/危機に瀕する原生林

文庫版あとがき


■著者について
志田 忠儀(しだ・ただのり) 【語り】
1917年、山形県西川町大井沢生まれ。
戦前から山に入り、戦後も春はクマ撃ちやゼンマイ採り、夏は登山や釣り、秋はキノコ採り、冬は猟と、一年を通じて山とともに生きた伝説の山人として知られている。
1959年、磐梯朝日国立公園朝日地区管理人になり、1982年同管理人を退く。
この間、天狗小屋、狐穴小屋、竜門小屋の管理を西川町より任される。
月山朝日遭難救助隊長、大井沢観光協会長、自然保護に関する功労で勲六等単光旭日章を受ける。
朝日連峰のブナなどの原生林を守る会会長。民宿「朝日山の家」経営。
2016年5月23日没。
著書に『山人として生きる 8歳で山に入り、100歳で天命を全うした伝説の猟師の知恵』(角川文庫)、『ラスト・マタギ 志田忠儀・96歳の生活と意見』(KADOKAWA)などがある。

西澤 信雄(にしざわ・のぶお) 【構成】
1948年、滋賀県大津市生まれ。愛媛大学を卒業後、1975年から朝日鉱泉ナチュラリストの家に入る。
朝日鉱泉ナチュラリストの家代表、日本ナチュラリスト協会会員、環境庁自然公園指導員、秋田営林局保全管理協会員。
著書に『朝日連峰・鳥獣戯談』『ブナの森通信』(無明舎出版)、『みちのく朝日連峰山だより』(山と溪谷社)などがある。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 狩人が語る朝日連峰の動物たち。
 生涯で50頭以上の熊を仕留めた大正生まれの狩人、志田忠儀。
 彼が語る山の自然の洞察は、そこで長年生活していた者でなければ得られないほどに深い。
 そして、これほど深く自然に入り込む人が現代にいるだろうか。

 高度成長期で自然破壊が進む昭和中後期において、語られる言葉は重い。
 このころの狩猟の周辺に生きる人たちの関わりも分かる貴重な資料だった。

0
2025年10月27日

Posted by ブクログ

志田忠儀・話、西澤信雄・構成『朝日連峰の狩人』ヤマケイ文庫。

山形県の朝日連峰をベースに狩人、山菜やきのこ採集やイワナやヤマメ釣りを生業としたネイチャリストである志田忠儀が語る自然と動物の話。

自然を知り尽くした志田忠儀の語るクマやウサギ、キツネやタヌキにイタチにアナグマ、野鳥、川魚の生態は興味深い。羨ましいことに昔は山菜やきのこも豊富に採れたようだ。

こうしたベテランの飾らない話には様々な含蓄があり、経験に裏打ちされた山での行動や考え方には学ぶべき所が多い。

山菜やきのこ狩りを楽しむ人はそれぞれ自分だけの畑を持っている。因みに『畑を持っている』というのは所有しているということではなく、知っているという意味だ。自分も父親から教えてもらったり、自分で見付けた畑を持っていたのだが、東京電力の福島第一原発事故により、春の山菜採り、秋のきのこ狩りは自由に楽しめなくなった。あと何十年か経たないと普通には楽しめないだろうな。

定価990円
★★★★

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

趣味や遊びじゃないので山でいかに効率的に稼げるかを考え無駄なことはしない。仕事(お金)になるからやるという姿勢にリアル猟師を感じた。

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2022年12月03日

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