【感想・ネタバレ】SINIC理論 過去半世紀を言い当て、来たる半世紀を予測するオムロンの未来学のレビュー

あらすじ

「SINIC理論(サイニック)」、オムロンの創業者・立石一真が提唱した「未来予測理論」。1970年当時、パソコンやインターネットも存在しなかった高度経済成長の真っ只中であったにも関わらず、情報化社会の出現など、21世紀前半までの社会シナリオを、高い精度で描き出していることから、今、注目を集めている。

本書は、そんなSINIC理論の概要をまとめた初の書籍である。

【目次】
プロローグ
1章 未来を考えるということ
2章 未来予測理論「SINIC理論」
3章 よりよい未来づくりへのSINIC理論アップデート
4章 現在進行形の「最適化社会」のゆくえ
5章 自律社会を生きる人、自律社会を支えるテクノロジー
6章 SINIC理論を超えていく未来
エピローグ

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Posted by ブクログ

> 未来学は、...事象を時間の流れに沿って把握するのが歴史学であれば、過去だけでなく、未来の事象にも対象を広げた歴史学という捉え方だ。(未来学とは、未来史の「学」)

オムロンの創業者と研究所のメンバーによって構築された、未来の社会を予測するSINIC(サイニック)理論について書かれている。科学・技術・社会の相互作用の下で、心か物、集団か個人、といった二元論を行き来する社会の価値観の趨勢を予言するための理論とされる。

本書では、オリジナルの理論の解説から、より適した理論へのアップデートに加え、現代の出来事との整合性、未来へ向けた考察(SINIC理論は2033年までを予測範囲としている)などが語られている。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

1970年に発表され、高い精度で未来予測をしたと言われているSINIC理論について理解できた。

その根底の考え方としては、科学、技術、社会が相互作用し、心中心 or 物中心の価値観が絡み、円錐型に沿って螺旋状に昇っていくという。
これは、弁証法の発展に似た考え方のように感じた。

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

SINIC理論をちゃんと理解することができた。書かれているように自律社会の芽はいろんなところにある。合理性を越えて動き始める人がいて、共感を呼んで、社会は変わっていくなと思った。創造性、貧乏芸術、地域通貨による新たな価値交換、あたりも自律社会コンセプトに親和的だと。全てが一つの方向を示している感覚。

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2022年10月09日

Posted by ブクログ

オムロンの未来予測理論ということであるが、なかなか理解は難解で、これをベースにオムロンが経営の意思決定をしていることに驚いた。
未来予測論にはあまり理解できないが、未来をどう作るかは主体的な考え方なので共感できた。
回りくどいので、もっとシンプルが必要かと思う。

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2024年08月31日

Posted by ブクログ

SINIC理論と呼ばれるオムロン創業者が50年前に立てた未来予測。それを再解釈してアップデートを試みたもの。そもそもの予測がよく考えられており、振り返るとそうなってきていることが多くあり、その先見性に驚かさせる。今の時代、それからまもなくやってくる時代。そこをどう捉え、どう生きていくかを考えさせられる。なんとなく感じる社会、起業姿勢、自分自身の変化と、先にある未来が同調するものなのか。結果、本書にある自律社会に至るのか。つまるところ答えは自分自身にあるというか、持たないといけないんだろうなと思わされる。
2周目最初の自然社会を、筆者が仏教の「じねん」の概念で置き換え解釈するところに、また見ぬ先の世界として共感できる。

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2023年12月24日

Posted by ブクログ

SINIC理論について体系化して語られた唯一の本。近年のトレンドを受けたアップデートもある。豊富な参照や逸話が散りばめられており、共感できる内容でした。
特に理論をオープンソース化していくこと、セカンドルネッサンスと呼ぶムーブメントに繋げていこうという心意気に深く感銘を覚えました。

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2023年07月31日

Posted by ブクログ

SINIC理論、ダイアグラムだけは何度か見かけたことがあり、足元(2022年)を最適化社会と呼び、その後自律社会、その次に自然社会とくる未来予測であることは以前から知っていたのですが、どうやってこれを作成し、それぞれの社会がどういう意味なのかについて、本書を読んでようやく理解できました。その意味で本書は大変ありがたかったですが、理解と同時に混乱も起きました。

以下、私の備忘録として書きますと、そもそもSINIC理論は科学、技術、社会という3つの領域が相互に影響を及ぼしあうことで未来が形成されていくという考え方をします。私はこれを読んで、野中郁二郎先生がいうところの「アリストテレスの3つの知」に対応しているのかなと感じました。すなわちエピステーメー(科学)、テクネー(技術)、そしてフロネシス(実践知)です。これらが相互に影響を及ぼしあい、新たな知が3つの領域で生まれつつ未来が生み出されていくのだという理解です。

他方、本書を読んで、SINIC理論について違和感を持ったことが2つあります。1つ目は、SINIC理論が物質的な豊かさという評価指標のもとで進化論的な考えかたをしていることです。このあたり今後のアップデートに期待したいところですが、多様な価値観は古代の昔からあったし、これまでの世界の歴史について、SINIC理論のように単線的に描くことに対しては大きな違和感を持っています。それこそ梅棹忠夫さんがいみじくも指摘したように、進化論的文明史観ではなく、生態論的な文明史観のほうが正しいのではないかと個人的には思っています。その意味でSINIC理論が示す世界観は、本書が述べているような全世界を網羅するモノではなく、あくまで資本主義というシステムにどっぷりつかっている中心国(ウォーラーステイン流に言えば)を対象にしたものだ、と言われれば納得します。もっと端的に言えば、米国、西欧、日本を対象にした予測なのです、ということです。

2つ目は違和感というより、不明瞭な点なのですが、この理論が「未来はこうなる」という中立的な事実命題を述べているのか、「未来はこうなるべきである」という規範的なものなのか、という点です。私は本書を読むまで、SINIC理論とは前者のスタンスだと思っていましたが、本書をよんでなにか規範的なニュアンスが込められている、というような記述もあり混乱しています。未来はこうなるべき、というスタンスだとしたら、シナリオプランニングのように、複数のシナリオを提示すべきでしょう。そのうえで、制作者としては〇〇シナリオになってほしいと思っている、というのなら納得できます。

細かい指摘をしてしまいましたが、本書全体を通じて、今までよくわからなかったSINIC理論の理解が深まったという意味で、大変価値があると思っています。今後のアップデートにも期待したいです。

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2023年05月08日

Posted by ブクログ

オムロンという京都のユニークな企業を調べていく中で、
タイムリーに見つけた本。
時間がなかったので、速読ベースですが、読んでみました。

SINIC理論とは、オムロンの人たちが未来の世界が
どんな風に変化していくのかを予想した理論。
オムロンは、この理論をベースに社会課題の解決を図る
製品やサービスを生み出しているみたいです。

もう四半世紀以上前に作られたこの理論は、
今思うとやっぱりすごいなぁというのが正直な感想。
この本に興味を持つ人なんてあまりいないと思いますが、
今読んでも色あせない理論だと思います。

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2023年03月22日

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