あらすじ
500年以上も茶室で語り継がれてきた禅語の力を、茶の湯と禅語の聖地大徳寺で修行した和尚が、いまの世に生かす。
<目次>
はじめに
第 1 章 自由自在に生きるとは。
第 2 章 理想を手放さない。
第 3 章 明日の心配を、今日しない。
第 4 章 気配りで、うまくいく。
第 5 章 バランスはいつでもむずかしい。
第 6 章 余計なことをやってる場合じゃない。
第 7 章 これしかない、があればいい。
第 8 章 喜怒哀楽、それが人間。
あとがきにかえて
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Posted by ブクログ
禅語にまつわるエピソードを通して教訓を学ぶという内容。
例えば、煩悩妄想を打ち砕く「百雑砕」。物体や器物を破壊するというだけではなく、全ての人の心にある、白と黒、善と悪などの相対的思慮分別のすべてを砕くのだという。学んできた知識、さらに修行で得た悟りさえも打ち砕いてしまう。地位や名誉や財産も。持ち物がとらわれを生み、かえって不自由な生活になっているという。この話の中で、伊達政宗が自分の愛用する茶碗を眺めているうち、つい落としそうになり焦った自分に対し、命がけの戦いをくぐり抜けてきた自分が…と、高価な茶碗を庭の石にたたきつける話が紹介される。一碗に心を動揺させられるとは何事か。
中々できる事ではないが、だからこそ教訓があるとも思える。こういう本である。
他にも、不治の病で死を望む母から、死なせてくれと言われた僧の話。どう声をかけて良いか迷っていると、外にこの女性の小学三年生になる息子。学校でいじめられていた事を告げるが、「でも、ぼくは大丈夫、学校でなんていわれても。あんなに体が動かなくてたいへんなのに、あんな病気をかかえているのに、毎日一生懸命生きている、日本一のかあちゃんだもん。ぼくは負けない。ぼく大丈夫!」この言葉を聞いた僧は、母親のところへ彼を連れていく。彼の話を聞いた母は、「私生きる。心臓が止まるまで私は必死で生きる」と。
どんな美辞麗句より、誰が言ったか。どう伝えたか、という言葉に乗るものが大切だ。
読めば読むほど、自分の人生に対する襟を正したくなるような、目の前で説教を受けているような有難い気持ちに。そういう本である。
Posted by ブクログ
月刊『遠州』に連載している記事に加筆修正したもの。ということで購入する人もそういう遠州の購読者を意識しているのか、まえがきを含めた全体の書き方だったり取り上げるエピソード、コラムなんかも茶や遠州に絡めている感じはある。
一個一個の禅語とそれに絡めた話も面白かったし、心頭滅却すれば火もまた涼しの上の句安禅不必須山水も知れたし、あと個人的には筏の話が印象に残った。ある男が旅をしていたら大きな川にぶち当たり、歩いて渡れず、周りにある木で筏をつくりそれに乗って無事川を渡ったと。男は筏を宝として持っていこうとするか筏は大きくて重く、泣く泣くあきらめてその筏を捨て旅をつづけた。旅は人生、川は難問、そして筏は寺、僧であり仏教であると。