あらすじ
命(ぬち)どぅ宝、生きていてこそ――沖縄の戦前、戦中、戦後を駆け抜けた少年・仁(まさし)の切なくも希望に満ちた清新な物語。第9回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した著者が、自身の体験をもとに戦争時代の沖縄を描き出した渾身の書き下ろし。
<1941年>
仁はおない年の信とガジュマルやデイゴの花に囲まれた野山へ昆虫採集に出かけた。サファイヤ・ブルーの海を眺めているだけで毎日が楽しかった。
<1945年>
米軍はガソリンを壕の入り口から流し込み、火炎放射器を使って火の海にした。だが外へ出れば迫撃砲の集中攻撃が待っている。
<1946年>
父との再会に望みを抱き沖縄に帰ってきた仁。そんな彼を待ち受けていたのは、疾走するジープとまずいマッシュ・ポテートだった。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これを読まずに沖縄へ遊びに行って、さんざん楽しませてもらったことを申しわけないとは思わないのです。だけども7日間1000kmあまりのドライブで一周できてしまった大きさの島でのできごと。地名を見ると、あ、あの辺だ、と思い出せてしまうのです。
Posted by ブクログ
作者自身が物語の主人公となり、自らの体験に基づいた小説。沖縄決戦の様子や、戦後まもなくの沖縄の様子が描かれている。文字で読んでいても悲惨な絵が思い浮かび、とても胸が痛い。「斬り込み隊」や「たこ壺作戦」という特攻攻撃があったのは知らなかった。しかも当時多くの中学生が、身1つで爆弾を抱えて戦車に突っ込む「たこ壺作戦」を行ったっていうのがとてもひどい。作者の戦争に対する思いや、軍司令部に対する思い、東京裁判に対する思いなど、自分が思ったことと同じ疑問が書かれていた。