【感想・ネタバレ】朝子のムジカ!!【電子単行本】 3のレビュー

離婚して仕事も辞め、茨城の故郷に帰ってきた五來朝子(ごらい あさこ)、40歳。
人生のやり直しを考えるものの、自分の選んだ道が正解だったのか迷う日々。
学生時代一生懸命打ち込んだ吹奏楽部時代のトロンボーンを見つけ、河原でひとり吹き始めたとき、楽器を吹くのが好きだったことを思い出します。

たまたま河原でランニングをしていた千尋から嫌味を言われるものの、毎朝練習に励んでいました。
ピアノで音大に進みベルリンまで留学した腕を持つ千尋でしたが、家が老舗旅館・星辰館を営んでおり、彼もまた音楽という道を捨て実家を継ぐために地元に戻ってきたのでした。

それからも何かと朝子に突っかかる千尋。
実は、千尋が音大を目指したのは朝子の一言のお陰だったのですが、そんなことをすっかり忘れていた朝子にショックを受けたための行動だったのです。
当時の朝子が千尋に伝えた
「2つのことで迷ったら楽しそうなほうを選びなさい。ただし楽しいと楽は違うよ。」
という言葉は、千尋だけでなく読者の胸にも響く言葉だと思います。
朝子が当時のエピソードを思い出したために千尋との距離がぐっと近づきますが、今後二人の関係に変化が訪れるのか気になるところ…!!

色々な事情により、やりたいこと・やりたかったことを手放して生活をしていることもあると思います。
物語の中に登場する朝子の親友で同じ吹奏楽部にいたおーちゃん。彼女は地元で結婚し専業主婦をしています。彼女は義母から「専業主婦だから時間があるでしょ」と言われちょっとしたお願いごとをされるのですが、そういうことの積み重ねで家族によって勝手に予定を埋められ自分の時間を奪われているという描写があります。
時間があるように見えて、楽器を弾く余裕なんてない…。そんなおーちゃんと同じ状況の方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。

登場人物の背景がとてもリアルで、ほんとうにいそうなほど普通な人たちです。
物語もいまのところドラマチックな展開というよりは地味…かもしれません。
ですが、そのゆったり感が読んでいてとても心地よいのです。
ゆったりとした中にドラマチックな部分が秘められており、よりリアルな人生ドラマを見ている気分がします。

昨今、女性の人生やり直しドラマを描いた作品が増えてきている印象があります。
ですがこの物語は、「人生はやり直せる!頑張れ!!」という強いメッセージというよりも、「やりたいことがあったらやってみたらいいよ」と優しく伝えてくれているのです。

それぞれの事情で今がある。
どれが正解でどれが駄目なんてことはないし、逃げても良い。
ただ、なるべく楽しくいられるのが良いよね!というメッセージが詰まった作品です。

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Posted by ブクログ

もう、胸がいっぱいで言葉が出てこないです。涙が出てきそうです…!和田フミ江さん大好きなんです。朝子のムジカ‼︎完結おめでとうございます!もしかしたらもっと描きたかったのでは…など思ってしまうのですが、希望の見えるさわやかな終わり方ですごくすごく好きです。おーちゃんの気持わかる〜!私の夫は長期出張ではないけど、ほぼワンオペなのとか、腹肉やばいのとかおんなじ!マキちゃんもわかる。部活はしんどいこともあるけど、頑張った事実は宝物だよね…女将さん、そうだったのか…千尋もまだまだピアノ弾きそうでなんか嬉しい。朝子も音楽続けたそうでよかった。みんな…輝いてる!いつでもやり直せる、始められる、また頑張れる。響きます。音楽やってる娘たちも3巻楽しみにしていたので、この後読むことでしょう。家宝にするから大事に読んでもらわないと。
宝物のような物語を、ありがとうございました!

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2024年01月16日

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