【感想・ネタバレ】PIHOTEK  北極を風と歩くのレビュー

あらすじ

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「植村直己冒険賞」受賞の極地冒険家、荻田泰永×「世界で最も美しい本コンクール」銀賞受賞の井上奈奈による絵本。
北極をたった一人で歩く”僕”の一日を描く。
頬を叩く風、北極での生き方を知る動物たち、空から降りる暗闇、そして……。
北極を歩く”僕”を追体験できる、命と死を感じる美しい絵本。



たった一人、北極を歩いている。
命を支える道具
食料を積んだソリを引きながら、進んでいく。
氷のきしむ音が遠くでひびく。揺れ動く氷の海。
歩けども、歩けども、足元はながされていく。(本文より)


「環境問題とは数字の問題ではない。命の問題だ。自分の命はもちろん、隣にいる大切な人の命であり、会ったこともない遠い土地の誰かの命であり、時代も異なる動物の命のことだ。ー中略ー北極を冒険することは、生きることだ。そして、死を感じることだ。その死とは、誰かの命であり、いつの日か自分の体も分解されて、空に舞い、風に吹かれて誰かの命にたどり着く。」(巻末エッセイより)


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Posted by ブクログ

ネタバレ

アルファベット部分の読み方は『ピヒュッティ』意味は『雪の中を歩いて旅する男』だということが、あとがきに書いてある。

物語は北極探検の様子と、北極の動物たちと、探検時に感じたことなどが綺麗な文章で書かれてる。絵と相まって、涼しくていい。白い色が多めで、表紙も白い。


あとがきも読みごたえがあった。北極探検家の書いた絵本。私はクレージージャーニーの番組でこの絵本を知って読んでみようと思った。
綺麗で不思議な感じの絵が好き。
動物たちも可愛くて、過酷な環境だということがわかる。ホッキョクグマ、アザラシ、ジャコウウシ、ライチョウ、ホッキョクウサギ、ホッキョクオオカミ、カリブー、意外とたくさん動物がいる。でも、北極で生きるのは大変。冒険も大変。

真っ白な明日のための絵本だった。ごちそうさまでした。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

荻田泰永さんの絵本ですね。
文は、荻田泰永さん(1977年、神奈川県生まれ)冒険家、作家、絵本作家。
絵は、井上奈奈さん(京都府生まれ)画家、作家、絵本作家。
 北極冒険家で、植村直己冒険賞を受賞されている荻田泰永さんの体験を元に描かれた物語ですね。
 「PIHOTEK」は「ピヒュッティ」。北極圏に住むイヌイットの友人から、送られたイヌイットネームだそうです。意味は「雪の中を歩いて旅する男」。

 たった一人、北極を歩いている。
 命を支える道具や
 食料を積んだソリを引きながら、進んでいく。
 氷のきしむ音が遠くでひびく。
 足元はゆれ動く氷の海。
 歩けども、歩けども、流されていく。
 雪をはらんで、風が僕のほおをたたく。
 ………………
溶けた風は、空っぽの僕を楽器にしてひびきわたる。
氷も動物もくらやみも、
僕も、全部が溶けて溶けてひびきわたる。
 風はなんでも知っているのさ。
  空が紫色に染まる一瞬
  光は世界に力を与える。
    夜が明ける。

  初めての今日を、僕は歩きはじめる。

 美しく力強い詩の響きで物語ります。
 井上奈奈さんの版画絵のタッチが、幻想的に僕と動物と北極の大自然を綺羅びやかに荘厳します。
 この絵本は日本絵本賞大賞を受賞されています。
 実際は、過酷な自然環境で、死の危険の中を歩いておられるのですが、この絵本では、あまり感じられないようにされていますね。
 小さいお子さんに、北極への興味を抱いてもらいたい荻田泰永さんのやさしさがあふれる絵本ですね。
(この絵本は、メメさんの本棚登録で興味を惹かれて読みました。メメさん、美しい壮大な絵本でした。ありがとうございます(´ー`).。*・゚゚)

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2024年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

雑誌「ダ・ヴィンチ」で紹介されているのを見て手に取り。
カバーはシボ感というかぽこぽこした紙の質感を感じ、雪が厚いという感覚が伝わるような装丁。本文の紙の質も手に柔らかく、遊び紙は極地圏の宇宙を思わせるような濃い藍に近い蒼色。装丁にこだわっているのが伝わります。

ピヒュッティってどういう意味かな、何語なんだろうと思いましたが答えは後書きに。著者は探検家の方だったんですね。
絵の線、色使い、人物や動物たちの描き方、全て短く詩のような文章によく合っています。
汗をダラダラかくまだ暑いこの時期に読めてちょっと涼しくなりました。
「初めての今日」という言葉が染みました。誰でも朝目覚めたら今日は初めての今日だ、と思えるのは子供よりある程度の大人の方かもしれませんね。味わい深い一冊でした。

0
2023年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想
シンプルな色合い。北極の写真や映像は見ることがあるが、この絵本の色合いから自然の厳しさ、命のやりとりが伝わってくる。白の世界に青、赤、黄色のページがはさまれ、北極の動物たちの息吹が聞こえてくるよう。『PIHOTEK』はPANTONE社の特色4色のみで表現された特別な色合いの絵本とのこと。
「空が紫色に染まる一瞬、光は世界に力を与える。夜が明ける」
のページの色合いが素敵だ。
ぜひ手に取って欲しい。カバーを外して、描かれた冒険の足跡を辿ってみるのもいいのでは?

<書籍情報>
日本絵本賞大賞受賞!造本装幀コンクール日本書籍出版理事長賞受賞!

「植村直己冒険賞」受賞の極地冒険家、荻田泰永×「世界で最も美しい本コンクール」銀賞受賞の井上奈奈による絵本。
北極をたった一人で歩く”僕”の一日を描く。
頬を叩く風、北極での生き方を知る動物たち、空から降りる暗闇、そして……。
北極を歩く”僕”を追体験できる、命と死を感じる美しい絵本。


(巻末エッセイより)
イヌイットについて
「彼らにとって自然と自分との境界は曖昧だったのではないだろうかと感じさせる。自分の命は周囲の自然環境と全く同一である。イヌイットもいまでは現代的な生活様式を得ているが、根底に生きている観念は未だ自然の中にある。」
「その土地で生きるということは、その土地から命を得ることだ。」
(中略)
「すべての命も存在も関係性の中に生まれ、死んでいき、また生を形づくる。」
「環境問題とは数字の問題ではない。命の問題だ。自分の命はもちろん、隣にいる大切な人の命であり、会ったこともない遠い土地の誰かの命であり、時代も異なる動物の命のことだ。命を切断して物事を考える思考こそが、最大の問題である」
「北極を冒険することは、生きることだ。そして、死を感じることだ。その死とは、誰かの命であり、いつの日か自分の体も分解されて、空に舞い、風に吹かれて誰かの命にたどり着く。」
「北極に吹く風の中には、きっと誰かの命が舞っている」

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2023年10月26日

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