【感想・ネタバレ】海とジイのレビュー

あらすじ

最期を見据えた生き様から光を得る人生賛歌。

舞台は、美しくもありときに恐ろしい顔を見せる海と島。3人のおじいさん=ジイの生き抜く姿と,そのジイから思いを受け取る人々の心模様をときに温かく、ときにいきいきと、ときに静かな筆致で描ききります。全3編の物語。
●海神~わだつみ
いじめが原因で不登校になった小学四年生の優生。ある日、瀬戸内の島に暮らす曾祖父を訪ねることになる。死期が近いはずの曾祖父・清次は、病人とは思えないほど元気に優生らを案内し、饒舌に振る舞う。その後入院となった曾祖父と優生が交わした二人だけの約束とは……。
●夕凪~ゆうなぎ
70代後半の老医師とそのクリニックに20年以上勤め、支え続けてきた48歳看護師の女性。ある日、クリニックを閉院すると宣言した後老医師が失踪する。必死で探す看護師の女性が行き着いたのは瀬戸内の島。もう戻らない、と告げる老医師の覚悟とは。静謐でほのかに温もる大人の慕情。
●波光~はこう
すべてを陸上競技に捧げてきたが、怪我により人生どん底になってしまった澪二。試験を前に逃げるように子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ。石の博物館のリニューアルオープンの準備を手伝ううちに、今まで知り得なかった祖父の青春時代、親友、そして唯一の後悔を聞き……。

※この作品は単行本版『海とジイ』として配信されていた作品の文庫本版です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

瀬戸内海。初めて四国を旅したことを思い出しながら、三人のおじいさんとジイからのメッセージを受け取る人々の物語を読んだ。
漁師のジイも、医師のジイも、石の博物館館長のジイも、しなやかで豊かだ。
いじめから不登校に悩むひ孫も、長年一緒に働いていた看護師も、ケガをして進路に悩むランナーである孫も、ジイたちのおかげで生きる活力を得ていく。
ジイ達が闘って身につけてきたもの。包容力と芯の強さが孫やひ孫たちの傷んだ心をあたためる。
どの話もいいが、ことに第三話が好きだ。
ジイを救った十歳も歳下の青年のあくなき鉱石への思い。悩める陸上少年の親友田宮の手紙。
「人生は短いぞ、澪ニ。今日一日を限界まで生きろ」
ジイの大切にしている琥珀が澪ニの未来を照らす。
藤原陽子さん、ありがとうございます。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

海神ーわだつみ
真鍋千佳

真鍋優生
千佳の息子。小学四年生。不登校児。三年生の体育の授業でお漏らしをした。

真鍋毅
千佳の夫。小学生の時から大学を卒業するまで少林寺拳法ひと筋。

茉由
千佳の娘。幼稚園児。

百合子
毅の伯母。

真鍋清次
毅の祖父。瀬戸内海の塩飽諸島に住む。


夕凪ーゆうな
月島英雄
診療所の医者。

水鳥
医療事務。三十代前半。実家に住む。

志木
看護師。四十八歳。

石上
診療所に毛生え薬の処方をもらいにくる。

篠沢巻
月島の元妻。

博一
月島の息子。

松岡
月に一度狭心症の薬を取りに訪れる。

小池誠一
志木がかつて一緒に暮らしていた。

三田
個人タクシー。

山口
月島が大学病院で働いていた頃の先輩。


波光ーはこう
戸田澪二
受験生。陸上部。完治まで八か月の大怪我をした。


澪二の五歳歳上の兄。今年の春に大学を卒業し、都内の医療機器を扱うメーカーで働いている。

佳澄
澪二の母。

城山栄一
澪二の祖父。石の博物館の館長。高校卒業し、紙製品工業の会社に就職した。二十八歳で大学進学。

岩下
澪二の高校の陸上部監督。

宮路
スポーツ医学を専門とする整形外科医。

田宮健太
澪二の見舞いに行った。陸上部の三年生。

真鍋竜生
琥珀の持ち主。城山が大学一年の時に出会った。





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2024年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編と中編の計三話からなるオムニバス形式。さらっと読めました。
一話目の『海神―わだつみ』というお話が一番短いのですが、一番グッときました。「逃げたっていい。しかし、自分の人生から逃げ続けることは、できはしない」というようなジイの言葉、恐怖から奮い立ちいざ立ち向かおうとする孫の姿に、勇気をもらいました。
二話目を読んだあとに著者の『瀬戸内島MAP』を見て、三話目がどんなふうに繫がっていくのかなとワクワク。
文庫化にあたって加わった解説、絵本作家きむらゆういちさんのお話がまた素敵です。

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2024年05月13日

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