あらすじ
■内容紹介厚生労働省の調べによれば、1999年から2005年までのたった6年間で、うつ病患者は2倍以上に激増。ついに日本は、うつ病患者100万人突破の時代を迎えた。本書は、現役精神科医がその増加の原因を客観的データで読み解いた、他に類を見ない「現代うつ病論」の決定版。■著者紹介冨高辰一郎(とみたか しんいちろう)1963年大分県生まれ。九州大学医学部卒。内科研修後、東京女子医大病院精神科にて精神科研修。日本学術振興会在外特別研究員としてカリフォルニア大学サンフランシスコ校にて薬理研究。精神科病院勤務、東京女子医科大学精神科講師を経て、現在パナソニック健康保険組合東京健康管理センターメンタルヘルス科部長。専門は、産業精神医学、精神薬理、性格学、医療情報。
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Posted by ブクログ
うつ病で精神科にかかろうか検討している人はその前に本書を読んで考えてほしいと思いました。製薬企業によるうつ病の啓発キャンペーンがここまでうつ病の受診者、患者を増やした。その影響力に驚いた。
病気には製薬企業の動きがあるのではと冷静になるきっかけを与えてくれます。
Posted by ブクログ
タイトルの答えが明確に描かれている。かくいう私もutuネットから入ったのだった。WEBドラマも見たよ。完璧にやられたね。そして、SSRI。精神疾患系の学会に出るとすごいもんね、製薬会社の接待。こうしたことを初めて日本語で書いてくれた著者に感謝だ。
・日本の製薬会社の研究員は全社で2万人、MRは6万人。医師5人につき一人のMRがいる。
・米国では食品、車を抜いて製薬が一番広告費を使う業界。
・脳循環代謝改善薬の発売中止。
・「第O世代」「選択的」「新規」はプロモーション用語。
・処方薬の販売量は公表されていない。自動車ですら公表されているのに。
・DSMは論理的に奇妙。
・アイスランドの抗うつ薬飽和。
・抗うつ薬は6週間で6割改善。プラセボは6週間で5割改善。
・現在の対照試験はプラセボに割り当てられる可能性を十分に説明する。
・ジェイゾロフトは再発予防効果で認可された。
・米国では薬害裁判の証人になると製薬会社の内部文書を閲覧することが可能になる。
・「休養」「励まし」「棚上げ」の原則は急性期のみにあてはまる。
Posted by ブクログ
某H君が読んでいたので、気になって購入・一気読み。感想3つ。
・資本主義の限界なのかもしれないが、マッチポンプ的なやり方で利益を得るのは(得に人生の根幹に関わる健康では)、認め難い。製薬メーカや医師が、(例え基礎研究や即効性がないにしろ)、正当な利益が得られる何らかのルール作りを行うべき。
・科学とは「普遍的・定量的な結果から、真実をみつける」学問だと私は考えている。しかしながら、この本で述べられているようなことが医学で起こっているのだとしたら、(カテゴライズはおかしいと思うが、大学受験時に理系・文系と分けられ、理系の最難関が医学部になっている現状・一般科学と比べてパラメータが多すぎるにしろ)、非常に残念。一方で、自分の分野でも、なんとなく常識になっていることには、常に疑いを持たなくては。
・頭蓋骨割った時に、心療科のハードルが高ければ、間違いなく自殺していると思う自分としては、この本の斜め読みで、誤った認識が増えて診察を受けづらくなるのも困る。この本の正確な理解を期待しつつ、多くの方に読んで頂きたい。
Posted by ブクログ
文字通り、なぜうつ病の人が増えたのか、そしてそれに対してどう対応すればよいかについて書いた一冊。
1999年以降、日本でもSSRIが認可されて、それ以降増えたこと、そしてSSRIが必ずしも特効薬でないことがよくわかった。
Posted by ブクログ
この本を読んでいて、たしかに昔はうつ病といえば精神科で敷居も高く、治療は精神療法(投薬というイメージはなかった)ということだったなと思いだした。先日読んだムックとはまた違ったエビデンスが多くあって、しっかり研究されているという印象があった。
実際にうつ病に関わっている人に対しては、うつ病という悲劇のなかに沈んでいるのがおかしいと思う時期が来る、という見解に興味を持った。
Posted by ブクログ
自殺の一番多い原因はうつ病。
この本はうつ病の人の数が数字として増えたことの原因をある程度明らかにしてくれます。しかし、残念ながら、うつ病が“実際に”増えたかどうか、そしてその原因がどこにあるのかまでは断言していません。(推測はしていますが)
数字の上でうつ病が増えた原因は、製薬会社のマーケティング戦略。
これにより、精神科の受診者数が増えたことが原因。
そして、認知させることにより、それが数字だけの問題ではなく、実際にうつ病を増やしている可能性がある、という指摘。
抗うつ剤の効果はプラセボと比較して著しく効きがいいとはいいがたいという実験事実と、副作用などのリスク。
例えば「抗うつ薬服用群の方がプラセボ投与群よりも、自殺者の比率が1.8倍と高かったのである。統計的な有意差はなかったが、予想外の結果だった」
何よりも、統計的に見ると抗うつ薬がうつ病を減らせていないという事実。
もちろん、重症化する患者の中には抗うつ薬が効く人はいるけれども、とりあえず薬を投与してしまう大勢の日本の精神化医のやり方に疑問をなげかけているわけです。
この本がうったえようとしていることはたくさんありますが、個人的に一番重要だと思ったのは、会社や私生活の問題がうつ病の原因であるならば、それに向き合わずに薬の投与だけでうつ病が解決するわけがないという指摘。
もちろん、バイアスはかかってると思いますが、自殺の問題についてそれが持つ側面の一つを知ることができると思います。何より、自身がそれを回避するためにも。
Posted by ブクログ
幻冬舎MCというと自費出版ブランドのイメージがあって全く読まなかったのだが普通の書籍も出しているというのは初めて知った。。。
本書はうつ病のDisease mongeringの先鞭をつけた本。
今や抗うつ薬の市場は巨大なものとなっている。パキシルの売上は世界全体で年間4000億円。日本の抗うつ薬市場は1000億でそのうちパキシルが500億だが、果たして本当に必要なものなのか。効果の無い薬は害もないので抗議活動も起こりにくい。また、薬に関する議論は一人でも効果がある患者がいるのであれば継続すべきだ、という意見が通りやすい
・1998-99にかけ、アバン、カラン、エレン、セレポート、ホパテといった脳循環代謝改善薬が効果のないことが実証され、市場から退場していったが、最終的な売上は一兆円にのぼっていた。
・早期受診、早期治療というのもデータとしてはそうなのかもしれないが、早期に受診するということは罹病期間が短いということなので、それだけ軽症で回復しやすいということ。早期治療の効果なのか、選択バイアスにすぎないのかは分からない。癌やエイズのように治療しなければ必ず進行するというものであれば早期受診・早期治療の方針は有効だが、うつ病は必ず進行するものではない。
・ネメロフは製薬会社から数百万ドルの利益供与を受けていたと議会で追求されており、エモリー大学も辞職している
・うつ病学会はもともとはGSKの支援で「うつ病アカデミー」という研究会として発足したもの