あらすじ
五銭で買った「レントゲン」、父から寄宿舎へ届く候文の手紙、教練でとった通信簿の「でんしんぼう」、匍匐練習中になくした万年筆、恩師と食べたまんじゅうの涙、若くして戦争で亡くなった友だちのこと――ものを書くようになってから五十年。その間、ずっと文章のなかで”私”を使わないよう心がけてきた著者が、思い出すまま綴った少年記。
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Posted by ブクログ
「あの」外山滋比古の自伝的エッセイ。幼年期から愛知の刈谷中学(旧制)時代まで。
父母のこと、親戚のこと、友人のこと、恩師のこと、寄宿生活のこと。なにげない出来事が内省的に綴られている。
9歳の時に母親をなくした。中学は寄宿舎に入る。週1回父親が訪ねてきてくれる。「候文」の手紙も届く。その距離感がなにげにいい。
中学5年、悪さをして退学になりかけたところを、舎監の先生が守ってくれる。そのエピソードが最後を飾る。
Posted by ブクログ
作者があとがきで、文章のなかで“私”を使わないと述べていたが、すっきり清々しいと感じるのはそのせいなのかもしれないと思った。
中学3年のときに寺田寅彦の文章を読みつよい衝撃をうける、とあった。
寺田寅彦は、好きだなぁ。