あらすじ
2021年、シェイクスピア全集、個人全訳を完結した著者は、翻訳を開始する直前、年間100本以上のシェイクスピア劇を観続けていた。代表的14作品を、演じられた舞台に即して「男と女の力学」「闇の中の輝き」「この世は仮装パーティ」等のテーマに分類し、掘り下げていく。シェイクスピア劇が10倍楽しくなるエッセイ。文庫化にあたり、全集最終巻「終わりよければすべてよし」についての書下ろしと全作品翻訳開始後のインタビューを加えた。
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Posted by ブクログ
ジュリエットちゃん好きだーーーーッ!!!
『ロミオとジュリエット』、ファム・ファタール発言いただきました。
「結婚」という言葉を先に出すのもジュリエットちゃんなところも好きなんよ。翻弄しようというつもりもないのにそうしちゃう。ピュアな残酷さを持っている。ってか現時点でもファム・ファタールと言ってもいいのでは? でも自分で偽毒を飲む根性があるから、健気系ファム・ファタール(とは?)
会って間もない年上ロミオにthou=「お前」(※古典的な単語)と呼びかける点もファム・ファタールの片鱗と言えるかもしれない。す……好きだ……。
『オセロー』若く純真なデズデモーナさん、という指摘もハッとなる。たしかに辻褄があう。彼女の「全身で生に向かうその姿勢」という評価にも興味を覚えた。
どこで見た記述かは失念したが、ハムレットについて「一直線に死に向かう人物」と指摘している文があった。
評価だけを見るとハムレットとデズデモーナさんは対象的だ。しかし何故か同じ匂いを感じる。一直線に生に向かうことと死に向かうことは、案外同じ意味なのかもしれない。不思議だ。
『ハムレット』に関するこの本での指摘で一番印象深いのはハムレットの独白の数。異例の多さ、と言われている。
たぶんこの量って減らすことは簡単だったと思う。常にホレイショーが隣にいて、彼に語り聞かせるとか。あるいは『リア王』のように道化を登場させ、話し相手にするとか。シェイクスピアもそれは考えたんじゃなかろうか。
でもやらなかった。そこがいいんだと思う。視線を強く意識する劇であることが強調される。そしてハムレットの孤独が浮き彫りになる。素晴らしい演出だ。
この独白の多さと、ハムレットの最期のセリフが『いまは、沈黙』であることは、呼応しているような気がするが……。どうなんだろう。このセリフが最期なのって、何か気になるんだよね。
絶対意味あるよね。何だろう。沈黙とは何だろう。沈黙と対極にあるのは何だろう……それが問題だ。