【感想・ネタバレ】僕が愛した逃亡者のレビュー

あらすじ

十五歳の朱砂(あすな)の唇を無理やり奪ったのは、指名手配中の逃亡者だった――。片田舎のローカル電車。突然現れた背の高い男。そして、温かい男の唇。それが朱砂に鮮烈な印象を与えた稲月真男(いなつきまさお)との出会いだった。その後、朱砂の通報で稲月は逮捕される。七年後、二十二歳になった朱砂の前に再び稲月が現れた。怯える朱砂をよそに、稲月は勤務先を告げるだけ…。復讐にきたのか、それとも…!? ※電子版には、紙版に収録されている挿絵は収録されていません。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 最初に言っておくと、思い切り犯罪者×年下受け、なのでダメな人はダメなのかもしれない。

 朱砂は十五歳の時に、病院帰りの電車の中で、唇を奪われた。
 その朱砂の唇を奪った相手は、指名手配中の逃亡者だった――。
 片田舎のローカル線の車内で突然起こった出来事。
 それが、朱砂と稲月真男との出会いだった。
 その後、真男が指名手配犯であることに気が付いた朱砂の通報で真男は逮捕される。
 そして、七年後、二十二歳になった明日なの前に再び稲月が現れた。
 驚くと同時に、怯える朱砂をよそに、稲月は勤務先を告げただけ……。
 生まれつき身体も弱いことを理由に、高校を卒業してから、定職にも就かずふらふらとしている朱砂にとって七年前の稲月との出会いはとても印象深い出来事だった。
 朱砂は、そんな稲月に対して興味を抱き、距離を近づけようとし始める。

 という感じの話でした。
 病気がちで友達もいない朱砂にとって、稲垣との思い出が今までの人生で一番強烈に印象に残る出来事で、その思い出から出てきた稲月は強烈に朱砂の興味を誘って。
 朱砂はその気持ちに正直に、稲月に近づいていくけれど、犯罪者ではあるものの、しっかり地に足を着いて真面目に仕事をしている稲月に近づこうとすればするほど、朱砂は自分の心無い言動で稲月を傷つけたり、自分の至らなさを思い知ったりする……そうやって朱砂が少しずつ成長していく。

 なんだかとってもキレイな話でした。
 じんわりきました。
 これ、BLじゃなかったらドラマみたいな話だよなー……と、なんだかしんみりしてしまった。
 なんだかキレイな世界観で作りこんで、静かなドラマにしてほしいなー……とか思ったりするくらい、あったかくてゆっくりな話。

 扱うテーマが「犯罪を犯した人間」だっただけに、ちょっと重くないかな? とドキドキしながら読んだ部分もあったんですが、消化不良を起こすこともなく、重くも、軽くもなくちょうどいい加減でその過去も描いた話でした。
 静かでしっとりした小説がお好きな方にはオススメです。

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2011年12月13日

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