あらすじ
「障害」や「障害者」ってそもそも何だろう? 知っているようだけどよくわからない、素朴な疑問を根っこからやわらかく考えます。
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Posted by ブクログ
"でも、私が心から望んでいるのは、「障害者とはなにか」や「障害者とはだれのことか」について、私と一緒に悩み、モヤモヤと考え続けてくれる人が少しでも増えてくれることなんです。
本書のサブタイトル「『わからない』からはじめよう」の「から」には、「理由」と「出発点」の両方の意味をこめました。"(p.220)
中学生向けの体裁だけど、中学生『以上』向けってことで、当事者でも非当事者でも読めるなら読んだ方がいい(自分は精神・発達障害者で、身体は無)。
著者の荒井裕樹が「青い芝の会」の本を出しているだけあって、第2章からギアが上がる印象。障害者を取り上げる本でも、この集団の話に結構な紙面を割く物ってそう多くはなさそうだから(偏見)独自性として評価できると思う。
また、その「青い芝の会」も決して無謬ではないことも指摘されているのも良い。障害者というマイノリティ属性があっても、『ジェンダー規範』から自由になれる訳ではない…。
まぁ、この世に完璧・完全無欠なんて存在し得ない・あり得ないとはいえ、理想を目指す志が無ければこの世は『停滞』という名の悪化の一途を辿るばかりだから…「それでも」と言い続けていく必要がある。何事も。
当初は、同著者による『差別されてる自覚はあるか: 横田弘と青い芝の会「行動綱領」』を読むつもりでいたが、いきなりそれを読むのではなく、(※なお2025年8月19日に『増補新装版』が発売予定)
先に『障害者ってだれのこと?』を読んでおいて良かったかもしれない。準備運動じゃないけど、良い前フリを積むことができた感じ。身体障害の話がメインとはいえ、「障害」の考え方としても入門書だと思う。
ちゃんと『合理的配慮』の翻訳問題にも触れられている。
本当なら『合理的"調整"』と翻訳されるべきだと思うが、そうはならないのが『日本の道徳教育』を行わせている政府の賜物ってところだろうか。これは嫌味です。
「自立」とは、経済面の事ではなく「自分で自分のことを決める」ことであり、
「周囲の条件に合わせて調整するのも『自分で決めること』の1つのあり方だ」という話は本当になるほど…と思えた。
自分自身、服のことも全然考えられなかったこともあり、本書の例え話(服を全部他者に任せて自分では一切決められない)そのまんまの人間だからあそこは特に「う…」となったけど、読めて良かった。