【感想・ネタバレ】日本共産党の100年のレビュー

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Posted by ブクログ

共産党=戦争反対運動のイメージを持っていたが、そもそもそれは社会党の考えで、社会党なき後にその支持者を集めるべく共産党が言い出した戦略だったそう。
そもそも、共産党の発端はロシア共産主義を世界に広めるべくして結成され、世の中を良くするためには暴力を暴力を辞さないという考えから始まっている。

平和的なイメージを今まで持っていたが、内部では権力で下を押さえつける体制があり、結局綺麗事を言っているだけで行動は一致していないような組織なのだろう。
最近、党首公選を訴えた松竹氏を除名した出来事も、対外的には平和を訴えながら党内部では権力を使った暴力をおこなっているのだと個人的に感じてしまった。

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2023年02月15日

Posted by ブクログ

本書は、日本共産党を分析して批判しています。
しかもその原因が「民主集中制」と「前衛意識」にあると指摘しているのですから、共産党組織の根源的なものにあるというのです。
さすが佐藤優氏です。「公式資料や公式文献」に、その組織の内在的論理が埋め込まれているとは、着眼点がすごい。
通り一遍の歴史観を並べるだけでない切り口に、日本共産党創世記の赤裸々な姿が見える思いを持ちました。
しかも人物の息遣いが聞こえるような描写には、緊張感が漂っています。
それにしても、なんと凄まじい時代であったのか。
日本共産党の結党後の混迷は、後から見ると訳がわからないと思っていましたが、著者のわかりやすい視点には納得する思いを持ちました。
「福本イズム」などもは日本共産党創世記のエピソードとしては知られていますが、その中身は知りませんでしたが、本書で初めて理解できた思いがしました。
また戦後の「51年綱領から」「51年文書」の名称変更についても、初めて知りましたがこれも興味深い。
また著者は構成がうまい。
古い歴史を並べるだけでは、さすがに読者も飽き飽きしてしまう。
現在の日本共産党の政治行動を、1920年代30年代の綱領やテーゼからその「内在的論理」をさぐりだし分析するとは、客観的でわかりやすい。
なるほど、これならなかなか理解しにくい日本共産党の主張の背景がよくわかると思いました。
著者の得意とする手法であり、実に興味深かった。
しかし著者による「民主集中制が抱える宿痾」をついて読むと、究極の権力との緊張関係の下での組織原則の難しさを痛感します。
そもそも「民主集中制」とはみんなで討議はするが、結論にはみんなで従うという内容と理解していますが、日本共産党の民主集中制はあまりにも徹底しすぎているようにみえます。
著者は、その上部に下部は従うという組織原則のもつ功罪を冷静に、日本共産党の公式文献を時代を追って検討することから、厳しく評価していると感じました。
著者は最終章で「共産党の知的水準は低下している」と指摘しますが、これはひとり日本共産党のみではなく、日本全体の事ではないのかとも思いました。
最後に、本書での著者の記憶に残る言葉をあげておきたいと思います。
「批判と言うのは相手を否定することではなく、相手の内在的論理をとらえて、さらに評価を加えることだ。全面的に賛成する場合も批判となる」。
心に残る言葉でした。

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2022年11月21日

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