【感想・ネタバレ】まっくら 女坑夫からの聞き書きのレビュー

あらすじ

「女も男と同じごと仕事しよったですばい」「どんなことにでも堂々とむかってやる,こい」.筑豊の炭鉱で働いた女性たちの声を聞き取り,その生き様を記録した一九六一年のデビュー作.意志と誇りを失わず,真っ暗な地の底で過酷な採炭労働に従事した彼女たちの逞しさが,生き生きと描かれている.(解説=水溜真由美)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

カテゴリ「ルポルタージュ」にしたけど、正確には「聞き書き」というジャンルになるらしい。その名の通り、福岡の炭鉱などで戦中・戦後に働いてきて、そのまま「炭鉱住宅」などに住まっている高齢女性たちから話を聞き、彼女たちの来し方を記録したもの。間に著者の想い(だいたいは哀しみといってよい感情)が挟まれている
女坑夫たちの生きざまは、すさまじい。しかし当の本人たちは「みんなそんな風に生きてきた」と思っているから、淡々と語る。

私は北九州で育ったので、ここにつづられている筑豊の方言はだいたい理解できたし、親戚のおじさんが言っていたあの言葉、こういう意味だったんだな、と思い出すことも多かった。でも福岡にゆかりのない人は、きつい方言の部分はだいぶ読みにくいのではないだろうか。例えば休むことを「よこう」とか言う。横になる、という意味から来ているらしい。夫のおじいちゃんが言ってたらしい笑。
炭坑で、文字通り地を這うようにして生き、暮らしてきた女性たちは、炭鉱が閉鎖されて時代が移ろったあとも、相変わらず貧しいままだ。貧しくてもそれを受け入れ、「私らは一生懸命生きてきた」という誇りをもっている。今のように人権意識が広まり、法が整備される前から、自分たちは男と対等だ、腕力がなくても工夫して男と同じくらい、いやもっとよく働いてきた、という自負がある。
戦時中の記憶を語る人の中には、「朝鮮の人もいっぱいおった」という記憶も多い。貴重な証言だと思う。
戦後、女性が半裸で地下を這いつくばるような労働環境を放置しているのは、国として恥だ(?)女性を保護しなければ、という感覚から、法整備が進み、女性が炭坑に潜ることができなくなった。炭坑で働く女性からしてみれば、生活の糧を失うことになり、いい迷惑だったようだ。現場を知らない官僚が考えることと、市井の人々との感覚の乖離が垣間見える。一方的に辞めさせるのではなく、男性も、女性も安全に働ける環境づくりが優先だったのだと今なら皆わかる。
働いて働いて働いて働いて、働いてきた炭坑の貧しい女性たちを通して、日本の現在がいかにして作られたのかに思い至ることができる、貴重な聞き書き。読んでよかったです。

0
2025年12月26日

「ノンフィクション」ランキング