あらすじ
本書に登場する主な豪族
1 中央の最有力豪族 物部連、和邇臣、大伴連、阿倍臣、葛城臣、巨勢臣、蘇我臣、中臣連など18氏
2 地方の伝統的豪族 吉備臣、筑紫君、上毛野君、下毛野君、尾張連、出雲臣、肥君など11氏
3 中央の有力豪族 鴨君、土師連、多臣、阿曇連、凡河内直、多治比君、佐伯連、坂本臣など30氏
4 地方の有力豪族 息長君、三尾君、三国君、近江君、犬上君など13氏
5 渡来系豪族 倭漢直、秦造、西文首、坂上忌寸など12氏
6 新しい渡来系豪族 穴太村主、大友村主、志賀忌寸、高麗朝臣など9氏
7 新しい有力豪族 石川朝臣、石上朝臣、藤原朝臣、藤原恵美朝臣、橘朝臣
8 奈良時代の王統に連なる豪族 高円朝臣、御方宿禰
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
天皇(大王)を取り巻く100の氏族(ウジ)の活動を、記紀の伝承、系譜、最新の考古学的知見から多角的に描き出し、古代国家形成の実像を解明する事典型研究書。本書の特色は、豪族は天皇にゴマをすったり裏切ったり、葬式での「先祖自慢」スピーチ(誄)や、床暖房付きの渡来人住宅(オンドル)など、古代の生々しいディテールが満載である点にある。
氏(ウジ)の政治的本質が主要論点の一つ。ウジとは始祖から自分に至るまで代々天皇に「奉事」してきたことを存在理由とする集団である。
渡来系豪族の役割も重要な論点。倭漢氏や秦氏などは、蘇我氏などの下で財政・土木・外交などの官僚的実務を一手に引き受けていた。
天智期関連では、中大兄皇子について、乙巳の変を主導。蘇我本宗家を滅ぼし、氏族連合体制から天皇親政(律令制)への転換点を創出した。庚午年籍については、天智9年に制定。氏姓(父系出自集団としての姓)を固定させ、氏族を律令制の官僚体系に組み込む法的基盤となった。白村江の戦いについては、敗戦後、亡命百済人(鬼室集斯ら)を近江蒲生郡へ移配。彼らの知識が天智朝の国防や行政実務を支えた。氏上の制度については、天智朝に創設。白村江敗戦を受け、国家が氏族統制を強めるために氏上へ刀や盾を与えて権威付けた。近江大津宮については、先進的な行政能力を持つ「志賀漢人(穴太・大友・志賀氏ら)」が住む地域へ遷都し、彼らを直轄の官僚として活用した。
講談社現代新書で、どこからでも読める構成。天智まわり関連度は極めて高く、中大兄皇子の側近だった佐伯子麻呂や、裏切った船史恵尺など、クーデターの「動線」にいる人物の素性が詳しくわかる。各氏族の「持ち味(料理、占い、馬飼、門番)」が明確に事典形式でまとまっており、モブや脇役の設定作りに最適な一冊。