あらすじ
『教養としての投資』を読んで感銘を受けた読者が次に読みたくなる、投資初中級者向けの教養本。プロ投資家は企業のビジネスをどのような視点で見ているのか? その思考法を獲得するには何を学べば良いのか? どんなふうに情報を集め、どうやって分析すればいいのか? それをわかりやすく解説する。優秀な投資家≒経営者であり、その思考法を身につけることはビジネスエリートへの近道でもある。
不況が30年続き、少子高齢化には歯止めがかからず、そこへコロナや原油高、ロシアによる戦争なども起こり、日本の未来は不透明になっている。もはや「終身雇用」は幻想と言ってもいい。そんな時代に身につけたいのが「投資家の思考法」である。自分自身がビジネスの「オーナー」であるという意識を持って行動し、同時に他者に働いてもらうことで本業以外から収入を得る。その2つを可能にする「投資家の思考法」があれば、どんな時代でも生き残っていけるはずだ。
「世界に負け続けている日本人にもっとも欠けているのがインベスターシンキングなのです。
インベスターシンキングを身につければ、投資家として成功することができます。利益を生み続ける企業を見極めて投資できるようになります。
それだけではありません。自分がビジネスで提供しているものの価値がわかるようになります。ビジネスパーソンとして一歩抜きん出ることができるのです。
時代がどんなに変わっても生き抜くためには、このインベスターシンキングが不可欠なのです。」(「はじめに」より)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
・キーエンスが売っているものは、顕微鏡ではなく、(顕微鏡自体を箱で覆うことによって暗室そのものを不要にし、画像はモニターに映し出し、その場で議論できる)プロセスの改善という顧客の満足なのです
・モノがあふれる現在の先進国では、顧客の抱えた問題が「機能」という具体的かつ画一的なものから、「意味」という抽象的かつ多様なものに移っている。このような意味的価値の世界では、顧客の問題は「解決」する前にまず「発見」しなければなりません。顧客の問題を発見し、解決するには、自分の仕事や顧客のビジネスモデル、属する産業の構造を熟知しなければなりません。
・本当に強い事業であれば、経済が正常化したときには収益性が必ず戻ってくる。一番重視すべき点は、その事業が高い経済性を持っているのか、利益を生み出す源泉がどこにあるのか、特定することなのです
・日本電産と競合していた三協精機を買収し、競合関係をなくすことで、事業の経済性を根本から変えた
・トヨタ→移動の手段、フェラーリ→ライフスタイル、テスラ→走る電池(未来的な何か)
企業が提供している財・サービスの付加価値を考える時に、供給者サイドからではなく、需要者・利用者サイドから見る
・「テレビを製造する」の産業バリューチェーン:まず川上のところで付加価値が高くなります。これは中国、オーストラリアでしか得られないレアメタルとかレアアースを想像してもらえばいいでしょう。絶対に必要な原材料を持っているものは強いのです。そして川中の「組み立て・製造」のところで沈んだ付加価値が、川下の「流通・販売」で少し上がります。販売店が持つ顧客との接点が付加価値になるからです。
・ディズニーが、産業バリューチェーンにおいて最も付加価値の高い最上流ポジションを持つ有料コンテンツを押さえている
・好奇心をもって「利用者目線」からビジネスの本質を捉えなければ、ただ目の前の商品やサービスを消費するだけのユーザー、トレンドを後追いするビジネスパーソンで終わってしまう
・価値とコストの非対称性(香水は購買動機のほとんどが香りだが香料の原価に占める割合が低く、コストに対して効用が非常に大きい)
・汎用製品製造における水平分業化は、「低価格」を求める顧客ニーズに対応していくうえであらがうことのできない潮流なのです。
・人の健康・命がかかったものは利益率が高くても正規品が求められやすい
・世の中でヒットしている商品やサービスがあったら「なぜ売れているのか?」「似ているものはあるか」「ちがうところはなにか」「川上と川下はどこにあるのか」の好奇心をもって、2つ以上の事実を組み合わせてみる
・顧客が本当に欲しているものは何なのか、その財が顧客にもたらしている付加価値(=問題解決)がなんなのかを、需要サイドからゼロベースで考えること
・自分という資産の価値=人の困りごとを解決できるビジネスパーソンとしての能力
・2つ上のポジションから今の仕事のあるべき姿を見てみよう
・リアルオプションは、一歩踏み出した人間にしか訪れないオプションの価値
・CNN : Fear & Greed index
・物事の原因と責任はすべて自分にある。自分の非力さに原因を求め、他に責任を転嫁しない。原因を自分に求めることにより、失敗の教訓を生かすことができ、人は成長する(ユニ・チャーム 高原慶一朗)
・自分でコントロールできる領域を見極めて、そこに集中することが自立するということ
・他人との相乗効果を発揮するためにまず自立しなければならない
Posted by ブクログ
投資家としてどのように企業を見比べて良いかがわかった。
・川中は儲からない(産業のバリューチェーンはスマイルカーブを描く)
・株価は利益の影、利益はビジネスの影
また読み返したい
Posted by ブクログ
先進国:機能から意味という抽象的かつ多様なもとにシフト
顧客の問題を解決から発見に
ビジネスの3つの要素
①付加価値
②競争優位性
③長期潮流
事業のポジショニング
①俯瞰的に見る
②動態的に見る
③斜めから見る
お金の本ではなく、
お金を出発点とした生き方の本だと思う。特に、ジブン・ポートフォリオ、会社ニュートラルな生き方はとても参考になった。もっと若い頃に触れられたらより良かったなという気になった。
Posted by ブクログ
全てはインベスターシンキングを培うために。
労働1.0から2.0へ移行するために。
応援したい企業の株を持つんじゃなくて、最優先すべきはその企業が魅力的な経済性を持っているかどうか。
俯瞰的に見る。
動態的に見る。
斜めから見る。
かなり合理的で感情を切り離した内容だった。
Posted by ブクログ
ビジネスエリートになるための 投資家の思考法
投資家の視点はただの株価の上下を見ることじゃない。企業の本質を見極め、20年先も見据える長期的な思考に触れて、自分の日常や仕事まで深く考えさせられた。トヨタやテスラなど身近な企業を題材に、投資家がどんな基準で価値を判断するのか、具体的かつ丁寧に描かれている。特に「自分株式会社」という自己投資の考え方が響いた。とはいえ理論的すぎて、一部は少し堅実すぎる印象も。だけど、忙しい子育て世代でも読みやすく、ビジネスや人生の羅針盤としてかなり実用的。感情に流されず、自らの資産を冷静に増やしていく考え方を学べる一冊だと感じた。
Posted by ブクログ
社会人1年目向けの教科書という印象。
自分という資産をどう育てるか、金融資産という金のなる木をどう育てるか。
資本主義の根本原理から学び直すという点でいい本だった。
Posted by ブクログ
「インベスター・シンキング」という概念を学べる本。インデックス投資であっても「何に投資しているのか」をよく把握すべしという考え方は投資を続けていけるヒントになり得る。
Posted by ブクログ
投資力、投資嗜好をより強化すべく読書
事業の経済性を見極めることに焦点を当てようという本質的なお話し
優れた経済性を持つ事業、営んでいる企業は、安定的な売り上げ、成長、高い利益率、健全なバランスシートなど共通した特徴が現れる場合が多い。
☆利益確定をしなくてもいいことは機関投資家と比べた時の個人投資家の最大の強み
株式を売却する行動は現金に投資するという決断
資産決定に必要なのはBS的発想
・財サービスの本質を捉える。
トヨタは自動車、フェラーリはライフスタイル、テスラは未来的な何かを提供している。
・事業ポジションの見極め視点
俯瞰的に 産業バリューチェーン
動態的に タイムマシーン時間軸
斜めから アナロジー
Posted by ブクログ
投資家の思考を身につけるための本。有効な投資とは2つあり、一つは長期投資でビジネスの本質である付加価値を創造する構造を見極めて株式を長期保有すること、もう一つは自分自身に投資することである。将来を見据えて自分が行動するための活力となるおすすめの本。チャンスの女神の前髪を掴むために日々自分自身の資産価値を上げるための努力を怠ってはいけない。会社に左右されない会社ニュートラルな自分を作る。
学びメモ
・あなたはビジネスでどんなお客様にどんな価値を提供しているか?アナトの会社の企業価値を認識しているか?を常に意識する。
・事業経済性の大事な要素は、付加価値、競争優位、長期潮流である。
・事業経済性を見極めるための重要な視点は、俯瞰的に見る、動態的に見る、斜めから見る、視点である。
・産業バリューチェーンでプロセス間の付加価値の相対的な位置を考える、一般的にはスマイルカーブを描く。ポジショニングを見極めることが重要。
・世の中でヒットしている商品やサービスに好奇心を持って考える習慣を作ることが大切。
・ユニ・チャームの社是、原因自分論、創業者の高原慶一郎のことば、物事の原因と責任は全て自分にある。自分の非力さに原因を求め、他人に責任を転嫁しない。原因を自分に求めることにより失敗の教訓を活かすことができ、人は成長する。
Posted by ブクログ
2022年71冊目。272ページ、累計19,489ページ。満足度★★★★☆
著者の本は共著含めて殆ど読んでいるし、ファンドの受益者としての接点もあるので、前半部分の内容は私には「おさらい」の感じがしました。
本書が他の本と差別化できるのは、やはり第五章で出てくる「ジブン・ポートフォリオ」の部分から「おわりに」かけての記述だろう
Posted by ブクログ
投資の勉強をするつもりが、気づけば自己啓発にもなっていた。
心に残ったフレーズは、「お金は『ありがとう』の対価、利益は顧客・社会が抱えた問題解決の対価」
Posted by ブクログ
前作に引き続き、投資というテーマを切り口にビジネスパーソンの自立を促す内容。前作よりもやや具体的か。自己投資や金融資産に投資する上での心構えや、ビジネスは顧客の問題解決である、と時には厳しく強調している。
Posted by ブクログ
2024/02/19
2024年3冊目。★3.5といった評価。
明晰で読みやすい文体で奥野氏の考えが理解できる一冊、その一方で氏の考えを元々理解している人には新鮮味がない内容(その分普遍的とも言えるが)なので、この評価とした。