あらすじ
フェミニズムを知るために必読。女性史研究先駆者の代表作を新編集。底辺の視点からの女性民衆史。「おんなの戦後史」の項では戦時中に女性たちが進んで戦争協力をしてしまったことを起点とし、戦後婦人運動、70年代ウーマン・リブの出現等。他の項では、古代の母権考から、米騒動、婦人労働者等について。平塚らいてうらの人物伝も。96歳著者の書き下ろしも収録。
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Posted by ブクログ
河出書房新社『存在しない女たち』を読んで、もう一冊何か続けてフェミニズムの本を読んでおきたいと思い手に取った。
女性にも責任を問う姿勢が印象に残った。
もう一周。
Posted by ブクログ
本書は、1971年に未来社から刊行された親本をベースに、著者の思考に大きな刺激を与えた沖縄に関する論考のほか、部落問題、志を同じくする者が集う志縁をつくることを目指して実践してきた「歴史をひらくはじめの家」に関する文章などが増補されたものである。
親本、文庫版いずれのあとがきでも、『おんなの戦後史』ほど書くのがつらかったものはないとする。戦争の犠牲者が加害者ともなっていること、戦後婦人運動が体制補完の働きになっていることなどへの告発は、自分自身への告発となって、ならばどう対処するのかと問いかけてきたからと言う。
表題作など本書に収められた文章は50年も前のものであり、フェミニズムやジェンダーという語も直接使われていないが、今読んでもアクチュアルな問題提起がなされている。
それだけ長い間、女性を巡る問題が、特に日本ではあまり改善されていないことに、改めて気づかされる。
そうした自らへの問いかけに著者はどう対してきたのか、その一端が増補された文章に現れており、著者の思想者、実践者としての誠実さに感銘を受けた。