【感想・ネタバレ】チリアクタ(2)のレビュー

『月見里』でちばてつや賞 ヤング部門 第79回大賞を受賞し、『GOD OF DOG』でもアウトローの世界を描いた木村航先生ですが、新作『チリアクタ』でもアウトローな男を主人公に物語を描いています。
ですがアウトローマンガとは一線を画す今作。なんと主人公の芥 修(あくた おさむ)は元ヤクザでありながら自伝的なマンガ「隻眼の阿修羅」を連載する現役マンガ家!!
物語はそんな芥と、彼の新担当となった新人編集者・三原玲奈(みはら れな)が出会うところからスタートします。

芥は自身の持ちアパートにヤクザの抗争で親を失った身寄りのない子供たちを引き取り、家族として一緒に生活をしています。
かつては自身も不遇な境遇で育ち道を踏み外していましたが親友を失ったことをキッカケに足を洗い、マンガを描き、未来に向けて「愛」を繋ぐことにしたのです。
最初は芥の事情を何も知らず担当編集としてもやる気のなかった三原ですが、彼の家族に対する思いと作品から感じられる本気に次第に編集者として真剣に向き合うようになってゆくのです。

今作はアウトローな人物を描きながらも「愛」がテーマとなっている上にどの登場人物もコミカルさがあり、アウトローマンガにある“ヘヴィーさ”を感じずに読むことができます。
編集者の三原は、美人で根性がありプライドも高いのですが、妙に抜けていたり、記憶を引き出す時に耳に指を突っ込み変顔をするという、憎めないキャラクターです。
芥も、重い過去があり元ヤクザというだけあり時たま背筋が凍るような鋭い表情をしますが、マッチングアプリを真剣にやっていたり、おとぼけなシーンも満載です。
ですがマンガに対する姿勢は真剣そのもの。
自分にできることに真剣に向き合う姿勢は漢気を感じます。

作中で、ヤクザを辞めても現代社会で生きていくには厳しいところが示唆されています。
そんな状況でも茨の道をかき分け人気マンガ家となった芥。
数々の辛い経験をしてきたからこそ今があり、心に愛があるからこそそれらを乗り越えられたのでしょう。
自身が描くマンガのキャラクター同様背中に隻眼の阿修羅を背負った彼が今は家族を背負い、道に迷った人たちを救っていく。新たなアウトローヒーローの誕生です!!

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2022年09月28日

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