あらすじ
黒木渚、ベストアルバムと同名小説、ついに発売!
不純な動機から始まった音楽は、私のすべてになった。
「私の歌で、こんな世界ぶち壊してやる!」
誰にも話したことがないけれど、私は光と共に生きてきた。
未来について想像するとき、私の頭の中には必ず白い光のイメージが浮かぶ。
高校二年の「シッポ」は中学時代からの片思いの相手、森園太陽に接近するために軽音部に入る。
好きな音楽はパンク、好きなバンドはクラッシュ、セックスピストルド、ダムド、ニルヴァーナ……
これ、全部嘘。
だけど太陽に近づくためにシッポが周到に用意した「設定」は、徐々に彼女の中にあった「音楽の光」をとらえて、
追い越していく。
眩しくて白いーーあの光はスポットライトか、それとも恋か。
音楽を始める動機なんて、不純だっていいじゃないか!
音楽×小説×青春
歌手兼小説家・黒木渚が初めて描く青春と音楽。
青春はエゴイスティックで汚くて、生々しい。それでも眩しい一瞬の光だ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私事だが、若いころから楽器の演奏はしないものの、ただひたすら音楽を聴くこと、が好きだった私だが、最近、音楽を聴くだけでなく提供する側、すなわち舞台に立つ、事ができた。そのような私であるから、この書籍の解説と、読みだしには大いに期待して、主人公は女子高校生であるにもかかわらず、自分なりの感情移入をして、読み進めることが出来た。
ただ、感情移入する、と言っても、作品中の後半からの誰か他人にあまりにも感情を抱くことにより傷ついたり、己の体を自傷したり、といったことまでには同化することは出来なかった。そこは私が自分の半生で「道を外れる事の無い様」身に着けてきた処世術によるものでもあると思うし、残念な言い方をすれば「私が失った若さ」であるのかとも思う。
そのような私がこれまでに失ったもの、をみずみずしい記述(すなわちそれは尖って危なっかしい)とともに私の様な年齢の者にとっては追体験できる、また若い人たちにとっては親近感を覚えることが出来る、良作品では無いかと思う。おぼろげにしか知らなかったのだが作者さんは現役のミュージシャンであるとの事。その創作(私も前述のような事情で創作、をさせて頂いているつもりである…)の過程で見てきたこと、経験したこと、閃き、を文章に起こして音楽とはまた別に読む者の心に届けてくれた。
…評点が若干渋いのは、私にとって、前述のように現代の若者の理解できない、同化できない部分がどうしてもあった、という事でお許し頂きたい。ただ、音楽を愛する者、これから何かを始めようとする者、もちろんそれ以外の読書好きの方も…、読んで損はない、痛いほどにみずみずしい、良作品であると思う。