【感想・ネタバレ】日本人として知っておきたい琉球・沖縄史のレビュー

あらすじ

那覇で発見された「山下洞人」の化石人骨は、何と3万2000年前のものだと推定される。爾来沖縄の人々は、彩り豊かな歴史を紡いできた。地方の権力者が各々グスク(城)を築いたグスク時代ののち、三山時代を経て、尚氏による統一王朝が誕生。王の即位式で、神女(ノロ)を利用した策謀がなされたこともあった。中国との進貢貿易、東南アジアと日本を行き来する中継貿易で王国は繁栄するが、17世紀島津氏の侵攻を受け、中国と鹿児島藩との二重支配体制に。やがて日本に組みこまれ、悲劇の沖縄戦、本土復帰を経て現代へ……。琉球・沖縄の通史を、第一人者が丁寧に解説する。 ●三山時代の前に、統一王朝が存在した可能性 ●「唐一倍」の利益があった中国貿易 ●鹿児島藩の琉球支配の必要条件は木材と鉄 ●「琉球交易港図屏風」で描かれたにぎわい ●極秘に進められた仏軍艦購入契約 ●日本史上最大の地上戦 ●沖縄復帰後の「大作戦」

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Posted by ブクログ

ネタバレ

新書で、はじめてここまで心が震えたのははじめて。
知っているようで知らなかった沖縄。
沖縄の歴史は支配の歴史。抑圧の歴史。
自分は北海道で生まれ育ち、今は関東圏で働く。まったくといっていいほど関わりのない歴史故に、ほとんど知らなかったんだということに驚く。
おもろ世、唐の世、薩摩世、大和世、戦世、アメリカ世、日本世。特に薩摩圧政、搾取が酷いなと思った。そこからのアメリカ統治。
昔インドの歴史を学んだ時と同じ不条理さを感じた。そこから琉球は武力で戦うというよりも、平和的に共存する道を進む。実際沖縄に行き、アメリカ軍の基地ありすぎて困惑したが、きっと現地の人は、受け入れて共存しているのだろう。ライカムがイオンの名前につくぐらいだからな。
エイサーの踊りを生でみた。三線の生の島唄を聴いた。抑圧の中で、力強く生き抜いた先人の命を感じて、涙が出そうになった。
鉄の暴風。銃剣とブルドーザー。スケープゴート。捨て石、トカゲの尻尾切り。
not in my back yard
「命どぅ宝」という言葉の重みで締めくくられる。自分に何ができるわけではないがもっと多くの人に知ってもらいたいことが溢れていた。

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

沖縄は琉球王国であり、日本が侵略して得た国との考えを強く再認識しました。産業の根本部分を収奪してしまい琉球そのものが持っていた本来の国のカタチの弱体化を招いたヤマトの国、維新後の日本の意志が悲しい。

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2024年02月22日

Posted by ブクログ

現在の沖縄県は疑いようもなく、日本の一つの県であるが、日本が天皇を頂点とする国家として成立してからの長い歴史の中で言えばごく最近まで、一つの国家「琉球」として存在していた。日本と同じ様に長い歴史を綴ってきた琉球、そして日本人の祖先とされる縄文人よりも遥かそれ以前から湊川人の発見により、更に遡る事のできた土地でもある。縄文人が1万5000年前まで遡れるなら、湊川人は2万2000年前。そして、それをさらに遡る3万2000年前から琉球列島に存在した山下洞人も発見されている。なお、DNA鑑定では、日本人の持つそれと湊川人は異なっている事がわかっており、縄文人を遡る事は出来ていない。ただ最初に述べた様に、現在は沖縄県であるから、日本人の祖先という捉え方自体は変わらない。それ程前から独特の文化と生活を営んできた沖縄の地は、中国大陸を支配した王朝と、日本の本土との間にある地理的な理由により、双方と微妙な関係性を保ちながら、長きに渡り琉球王朝を発展させてきた。
本書は中国と日本の間にあり、時代毎に支配の変わる苦難を乗り越えながら、その存在価値を世界に示してきた琉球・沖縄の歴史を辿る内容となっている。古くは前述した旧石器時代、そしてその後各地に生まれた王朝とグスクの時代、その後現在の九州鹿児島県、薩摩を治めた島津氏による支配、最後に太平洋戦争敗戦によりアメリカ軍が敷いた占領時代から現在に至るまでの歴史を辿っていく。
そして今もなお、沖縄県人としての、かつて琉球王国として栄えた人々としての、その誇りを失わず、生き続ける魂がある事を教えてくれる。現在の沖縄は、依然として本土の他県と比べて平均年収は低く、同じ日本人でありながら東京の年収に比べると圧倒的に低いままである。そして元々観光資源が重要な県の収入源となっていたが、近年はコロナにより、一時期は大幅に減衰してしまった。前日新たなテーマパークが沖縄に出来、回復が本格的である事を示す良いチャンスではあるが、アメリカ占領時代から続く基地問題が解決したわけではない。まだまだ沖縄の基地は沖縄社会に大きく影響を及ぼし続け、それにより支えられる経済もあるものの、数年に一度は必ずアメリカ兵による不祥事、基地に属する航空機(オスプレイの墜落事故も)の事故など、暗い話題が付き纏う。その様な今の社会の問題を含めて、沖縄県と琉球の歴史は苦難そのものである。今なお多くの課題を抱える県政であるが、それに至る道のりについて、本土の沖縄以外の県民、国民が沖縄の成り立ちと生活について理解し、日本人全体として将来進むべき方向性を(自分事として)考えなければならない。先ずは沖縄の歴史に興味を持ち、この様な書籍で勉強する事で、現代の問題の本質及び解決に向けた方向性を考える事に非常に役立つと感じる。先ずは同じ日本人として、悩みを共有する事はそのベースであると感じた。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
第1章  旧石器時代・貝塚時代の沖縄
第2章  尚巴志の統一、尚真の国づくり
第3章  清と鹿児島藩の二重支配
第4章  琉球処分~琉球王国から沖縄県へ
第5章  戦争、占領、復帰

<内容>
著者の言うように、手ごろな新書や文庫で、このような通史の沖縄史はなかった。内容的によくまとまっているのではないか。あまり知られていない中、近世の琉球史がよくわかった。近現代史はちょっとボリューム不足か?本的にこれ以上厚くできなかったのかもしれない。(といってもこの本は200ページなので、どちらかというと薄い部類に入る)

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2022年06月23日

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