【感想・ネタバレ】日本でわたしも考えた:インド人ジャーナリストが体感した禅とトイレと温泉とのレビュー

あらすじ

インド人作家による驚愕と新発見の滞在記

本書は、2016年から20年まで東京に居を構えたインド人ジャーナリストの日本滞在記である。著者はインドを代表する英字紙『ヒンドゥー』の元北京支局長で、EU代表部に勤める夫と2人の息子とともに初めて来日。4年近くに及んだ滞日生活でインドでは考えられないような日常に目を瞠り、自身の知的好奇心をフルに発揮して多くの日本人や在住外国人と意見を交わした。生活習慣の違いから日本語習得の難しさ、俳句や金継ぎなどの伝統文化、政治・社会問題まで多岐にわたるテーマについての興味深い考察が本書には詰まっている。
外国人による日本論や日本滞在記は数多あるが、そのなかで本書を際立たせているのは何と言ってもインド人ならではの着眼点である。「中村屋のボース」とカレーの伝播、東京裁判のパル判事に対する評価、ボリウッド映画の日本への浸透、インド人コミュニティと政治・社会参加の問題など、「インドと日本」に関わる多様なトピックが俎上に乗せられている。
ジャーナリストならではの鋭い洞察に母親としての視点を交え、自身の発見や驚きがユーモアあふれる文体で綴られたユニークな作品である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

インド人の女性ジャーナリストである著者はスペイン人の夫とこども二人をつれて、夫の仕事の関係で日本に滞在することとなり、4年間日本に滞在する。
著者のアイヤール氏は日本に来る前、ヨーロッパやインドネシア、中国に住んでおり、インド人として視点だけでなく、中国やインドネシアやヨーロッパとの比較もしながrた、日本という国の文化や社会を理解しようと努めたことと綴った本である。
日本にくるまで、日本に関心はなく、ほとんど日本のことをしらなかったにも関わらず、来日後日本語を勉強し、句集を読み、徒然草、谷崎潤一郎の作品をはじめとして多くの文献やインターネットで情報を収集した上でこの本を書いている。巻末の原注が200を超えており、たった200数十ページの本なのに、熱意がこめられている。
 このような外国人による日本滞在は、文化的な違いに起因するドタバタ劇があって、それで報復絶倒となるような本が多いが、この本はもう少し、静謐で、著者の俯瞰するようなまなざしが感じられる。
1.日本政府観光局から鳥取に招かれて、毎日懐石料理をたべさせられて、「他のものを食べたい」というとそれは変えられないが、ついかで料理を注文することができるといわれて、唖然とする。(お役所仕事の硬直性)
2.中国は表だっては政治の報道はなされないが、民衆はみな政治について意見をもって戦わせている。しかし、日本は政府は表向き民主主義だが、国民がおそろしく受動的で、政治的な関心がないようである。
3.帰国子女などに対していまでも同調圧力がつよい。
4.日本人にとって他者への配慮はとても大事である。
5、日本人は一つのことを究極まで習得する職人魂のようなものが、インド人は不測の事態に凛期応変に対処するジュガールという考えがある。
6.インド起源の仏教は存在論や認識論など形而上学的であったのだが、中国に伝搬した過程で儒教と結びつき、思弁的よりも実践的になり禅宗となった。
 よって禅宗の僧侶は食事をつくり、掃除を、坐禅を組むが、インドの僧はひたすら施しを受ける。
7.インドの民衆の政治傾向は反現職、政権はつづかない。日本は現職維持主義

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2024年10月09日

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