あらすじ
ぼくは背が低い。仲良しの希来里は、背が高くて手足も長い。そんなぼくらは、バレーボールが好きでジュニアクラブに入ることになった。体格に恵まれている希来里に、監督も嬉しそうにしている。そして、入部して半年で希来里はスタメンになった。ぼくだって、スタメンになりたい。けど、ぼくが身長に負けないためのトレーニングをしている間、希来里はその先の練習をしている。最初からある差は、縮まらない……これって不公平だよ! ところが、希来里に誘われた競馬場で……。――不公平さは、だれにでも公平にある日本児童文芸家協会賞、野間児童文芸賞受賞等、数々の受賞歴があり、青少年読書感想文全国コンクール2年連続選出の著者が、等身大の少年達を爽やかに描いた共感を呼ぶ一冊。 【もくじ】●1:不公平だよ ●2:努力してもムダなこと!? ●3:悩める希来里 ●4:不公平は公平だ
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Posted by ブクログ
【小学3-4年生・中学年の読み物】
好きなイラストレーター・ころりよさんが絵を担当されていて、そこからこの本を知りました。
不公平は、公平にある。
その事実を前向きに受け入れていくお話で、とても好きだった。
誰かのことを羨ましく思ったり、逆に優越感に浸ったり、善意として言われた言葉ですごく傷ついたり……。
そういうことは子どもの世界だけでなく、大人の世界にもある。
大人が読んでも楽しめるストーリーだと思う。
そして、ころりよさんの優しくてあたたかいイラストがストーリーにぴったりで、ほくほくしながら読んだ。
児童書を読むのは久しぶりだったので、「絵がいっぱいある!」と挿絵を見て嬉しくなった。
普段使っている言葉で、ストーリーを分かりやすく・面白く組み立てていく児童文学は、やっぱりすごいなぁと思った。
読めて良かったです。
以下、好きだった箇所を引用します。
背が低いぼくはかわいそうだっていうのか? チビだって言われたら傷つくのか? ぼくは気を使われて、かわいそがられなければいけないのか? 背が低いって、残念なことなのか?(P35)
——こーた君のほうが、つとむ君よりちっさーい
——公太君は、つとむ君より小さいけど、大きい子なんだよ
どっちもへこんだけど、事実をついたことばより、正義を振りかざしたまっとうなことばのほうが、ぼくは傷ついた。(P55)
「人生は不公平だよ。だれかと比べたとたん、全部が不公平になる。それを感じないときは、比べた相手より自分が恵まれているときかな」(P118)
憧れることができるのは幸せなのか、それとも、知らなかったほうが幸せなのかな。(P121)