【感想・ネタバレ】湘南夫人のレビュー

あらすじ

湘南を舞台に巨大企業グループを擁する一族の栄枯の美を描いた石原文学の真骨頂。急逝した三代目の残された夫人は複雑な関係の中で…。

湘南地方に広大な邸宅を構え、巨大企業グループを擁する北原家。手掛ける事業は鉄道から機械、観光開発にまで及ぶ。その三代目社長・勝彦が急逝し、残された妻の紀子は亡夫の異母兄弟・志郎と結ばれることでその血脈を繋いでいた。だが、縁戚で音楽評論家の野口による音楽事業の提案や、その甥・明からのレジャーの誘いなどによって、複雑に入り組んだ一族同士の関係に微妙な変化が起こりつつあった。その美貌で男たちの心を捉え、また並外れたピアノの才にも恵まれた紀子。彼女の人生にこれから待ち受けているものとは……。

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Posted by ブクログ

作者最晩年の作品であるため、これまでに見られた内容と文章の濃密さや登場人物の漲る情熱と生々しい半倫理的描写は鳴りを潜めたかのように僅かしか感じられないのだが、それでも短い分量ながら湘南を舞台に石原慎太郎的モチーフやアイテムで加飾された上流階級に於ける物語を楽しむことが出来る。石原良純による文庫特別あとがきにあるように、知っている者知らなかった者にとっても読めば作者の姿が思い浮かぶ一冊。

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2022年07月20日

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