あらすじ
カメラマンの南美樹風は、大学の後輩たち五人を連れ、山間部のコテージへと夏合宿にやってきた。翌朝、中央広場のT字形の案内板に磔にされた首なし死体が発見される! 被害者は合宿に参加していなかった学生と判明。死体に異様な演出を施した犯人の目的やいかに?(表題作) 名探偵・南美希風が四つの怪事件に挑む、柄刀版《国名シリーズ》第一弾!。
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端正なたたずまい。不要な部分を削ぎ落とした感じは、少し、米澤穂信『可燃物』と似た印象。もうちょっと物語的に「余白」があったほうが好きかな。ノンブルが資格で囲われていて、ちょっと特別感あり。
Posted by ブクログ
絵画修復士シリーズ?から柄刀先生のファンなので。
動機や事件背景の描写がアッサリ目なのは読者の妄想に任されているのかと。
扇風機が起動して…のシーンは注目。
Posted by ブクログ
エラリー・クイーンの国名シリーズへのオマージュを意識した連作短編集。当然、ロジック寄りのパズラーで、被害者も犯人も人物像から厚みをバッサリ切り落とされた記号で、動機も適当な感じだ。こうした方向での、殊に前半の2作での徹底ぶりはすごい。そんなわけだから、本作を読んで物語的な厚みがないとか、無味乾燥とかの非難をするのはお門違いと言うことになる。そう言いたくなる気持ちは分かる、パサパサぶりだが。ただ、肝心のロジックにそこまでの切れを感じない。物語的な膨らみを多少は意識したように思える、後半の2作の方が、むしろロジックの完成度も高く感じるから、作家さん的にも何か無理があるのかも知れない。個人的ベストは「或るオランダ靴の謎」。足跡密室のヴァリエーションでなかなか楽しい。でも、これもロジックと言うよりトリックですね。