【感想・ネタバレ】人間のしがらみ(下)のレビュー

あらすじ

ミルドレッドへの思いを断ち切ったフィリップに訪れる新しい出会いと思わぬ再会。感情を大きくかき乱す出来事の数々に翻弄されるなか、青年は偶然知り合ったある一家との交際のなかで人生の「真実」に気づき……。人気絶頂期のモームが劇壇との蜜月関係を破り、専念して書かざるを得なかった20世紀英文学の代表的傑作。

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Posted by ブクログ

以前は一般に「人間の絆」と呼ばれていましたが「人間のしがらみ」と変わり、読みたい、と思い手に取りました。理性ではコントロールできない人間の性、どうにもならない状態、主人公フィリップはかなりの重度にも思われますが…
英国の諜報部員でもあったサマセット・モームの人間観察力は鋭いですね。
106章がとても印象的
「〜賢者はたった一行で人類の歴史を教えた。人は生まれ、苦しみ、死ぬ。人生に意味はなく、生きることで何か役立つことはない。生まれようが生まれまいが、生きようが死のうが、どうでもよいのだ。生きることにも死ぬことにも意味はない。〜 人生という巨大な縦糸(どこからともなく流れ出て、どこへともなく果てしなく流れゆく川)にあっては、意味などないし、重要なものは何もないという己の空想を背景に、人はさまざまな横糸を選んで模様を描くことに個人的な楽しみを見出し得る。〜何が起ころうと、これからは模様をさらに複雑にするモチーフとなるだけのことであり、終わりが近づけば、その完成を喜べばいい。それは芸術作品てなり、自分だけがその存在を知り、自分の死をもって直ちに消え去るがゆえに、美しいのだ。フィリップは幸福だった。」

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2026年06月03日

Posted by ブクログ

 ミルドレッドに失恋した主人公フィリップは、新しい恋も始まり立ち直りつつあったが、そんな彼の前に恋人に捨てられたと言ってミルドレッドが現れる。彼女を見てフィリップの感情はまた揺さぶらるのだが、果たして二人の間はどうなるのか、といったところから下巻は始まる。

 そして、フィリップが親しく付き合い、その言動に目を見張ったり、才能に憧れたりした友人たちが、ある者は病に倒れ、また別のある者は夢をあきらめたりして、かつての親密な関係が失われていく一方、医局員として研修をしていた病院で知り合ったことがきっかけで、アセルニー一家との交際が始まり、フィリップは人生の新たな一面に目覚めていく。
 そんな中、フィリップは投資の失敗から財産のほとんどを失ってしまい、下宿代も払えず路頭に迷うに近い状況になってしまったが、そんな彼に手を差し伸べてくれたのがアセルニーとその家族であった。その口利きで何とかデパートの婦人服売り場の仕事を見つけたフィリップだったが、果たして彼の人生は、そしてミルドレッドとの関係はいかに、という展開。

 ある出来事があって、フィリップは医学校での研修を終え、医師への道を目指すこととなり、そしてある人と二人で人生を送って行こうと決意する。
 
 ミルドレッドに対する気持ちが、若者らしい執着的な愛から、焼けぼっくい的に火がつき、さらに同情、哀れみと変わっていくところは分からないではないが、ミルドレッドの態度に共感を持てないし、齢を重ねてくると、そもそも恋愛部分を読むのがきつくなってくる。
 そういった意味では、フィリップが一度零落を経験してからの新しい生き方のところに共感を覚えたし、それこそが本書読後の後味を良くしているのではないだろうか。

 ない。訳者あとがきにもある通り、本書はこれまで『人間の絆』というタイトル名で訳されてきたが、「絆」という言葉が”つながり”とか”結びつき”といったポジティブな意味に変わってきているようで、本書の内容からすると確かに”しがらみ”という言葉の方が適当な気がする。

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2025年03月31日

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