あらすじ
若くして特攻隊に志願した時、人生は終わったと覚悟した。終戦を迎えて生き残った時、残りの人生は余禄だと思った。頰を切られた時、一生をヤクザで終わると腹を決めた――。特攻隊、愚連隊、安藤組組長、そして映画俳優へと身を転じた安藤昇。ハジキか女を抱いて寝るような、その破天荒な生き様をモノローグで描く圧巻のノンフィクションノベル!
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Posted by ブクログ
石原慎太郎『ある漢の生涯 安藤昇伝』幻冬舎文庫。
先日、著者が亡くなったばかりなので古い著作が文庫化されたのかと思ったら、昨年刊行された単行本の文庫化だった。
何故か一人称で語られる安藤昇の自伝風ノンフィクション。これでもかと言うデカイ活字で頁数の割りにはボリュームは無い。晩節を迎えた著者がかつて出会った安藤昇や花形敬に思いを馳せる不思議な作品。
安藤昇のことは、昔読んだ本田靖春の『疵 ―花形敬とその時代』で知っていたが、著者がこういうジャンルの作品を手掛けていたことに驚いた。
幼い時分から素行不良で、少年院から特攻隊員を志願し、大学に通いながら愚連隊を組織し、後に安藤組の組長、さらには俳優となった破天荒な人生。コンプライアンスだ、ハラスメントだと兎に角五月蝿い現代ではこのような生き方など到底無理で、実現するとすれば映画か小説の中だけだろう。
本体価格590円
★★★★