あらすじ
症状が3年以上長引く、または再発を3回以上繰り返す「慢性うつ病」。服薬と休養で半年もあれば治ると言われるうつ病だが、実は1割強は慢性化し、いった ん慢性化した患者は、投薬治療中心の現在の日本の精神科では敬遠されがちだ。しかし、あきらめる必要はない。家庭や仕事など現実を直視し、抑えられてきた 怒りや悲しみの感情を解放すれば、慢性うつ病は必ず治る。10年以上苦しんだ人が、「もう大丈夫」と確信できるまで回復したケースを紹介し、カウンセラー が自分の心との向き合い方をアドバイス。
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Posted by ブクログ
時代が変わってくれば
うつのタイプも変わってきます。
新型のうつ病も出てきていますからね。
それをきちんと一つのタイプとして
書いているところが印象的です。
そして、慢性のうつ病について。
まさにこれはこじらせてきたものが
何らかの要因で一気に爆発してしまい
無気力に陥ってしまうのです。
時に何度もぶり返すケースもありますし
躁の状態になることも。
回復の時期こそ要注意。
大事なことは、自分を受け入れることと
がんばりすぎないこと。
これは大事ですよ。
つい最近、ぶっ壊した私が言うぐらいですから。
Posted by ブクログ
うつ病と慢性うつ病の違いが興味をひいた。慢性うつ病についてはカレンホーナイの神経症的競争や隠された敵意や悲しみをひいていて加藤諦三氏の路線をそのまま踏襲している部分が多いが、加藤氏が自身が神経症で苦しんだ当事者であるために自己の思い入れや加藤氏自身の葛藤解決のために書いている部分が多いのに対して、著者は第三者的にいちカウンセラーという立場をしっかり保持しながら書かれている。今まで加藤氏の著作を何作も読んできたが、緒方氏のほうが説明(仮説)がしっかり立てられてすっきりしている。
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慢性うつ病は必ず治る
2010/11 著:緒方 俊雄
うつ病とは、気分が落ち込む病気である。普通の落ち込みとうつ病とはどう違うのか。ただ気分が落ち込むだけでなく、夜寝られなくなる、食欲がなくなる、気力が減退する、集中力が低下する。それが2週間以上続くと、うつ病と考えられる。
うつ病は誰でもなる可能性がある病気である。一生のうちに、男性の5%から12%、女性の10%から25%はうつ病になると言われている。このため、最近はよく「心の風邪」と言われている。
本書の構成は以下の6章から成る。
①「心の風邪」と呼ばないで
②早期対応で早期回復
③どんな場合に慢性化するのか
④一生治らないと思っていた
⑤治すのは医者でも薬でもない
⑥慢性うつ病は必ず治る
誰もがギリギリのところで生きている。
毎日を過ごす上で気分の浮き沈みは誰しもある。本書でのうつ病の定義はその気分の落ち込みと身体の不調のダブルパンチが2週間以上続くこととある。
心の病を定義するのは難しいし、軽度と重度やいろいろな種類もあるだろうし、個人差もあると思うので一括りに捉えようとするのも無理があるのかもしれない。
本書はカウンセラーの著者が8人の人とのカウンセリングの事例を取り上げ、実態を浮き彫りにしようと記されている。
カウンセラーの立場、そしてうつ病の方の立場。双方の視点と第三者的にそれを捉えながら読むと今までのうつ病に対する意識も変わった点も多かった。
うつ病の方には頑張れという声かけは禁句であるもやはり治すには薬と休養・時間・周りの配慮が必要であるが、最後は本人次第、本人が頑張るしかないのかもしれない。
Posted by ブクログ
性格の4つのモデル「平等型」「支配型」「依存型」「孤立型」が示されているのが特徴的。
「平等型」は心が安定していて、うつ病になりにくいとの事。
うつ病になりやすい他の3つの性格になる「原因」として、
子供時代の両親の接し方が大きいと書かれている。
それぞれの親や周囲の愛情を得るため、自分の存在を確立するため
自分の心を安定させる手段を身に着ける。
そして大人になった時に、自分を取り巻く環境が変化した際に
心の安定させる戦略が崩壊して、うつ病が発動する。
非常にわかりやすい説明だと思った。納得いく。
結局のところ、やはり子供時代は重要だ。
しかしこの調子で研究が進めば、カウンセリングで100%解決させることができるかもしれない。
極端な話、20歳になったら全員カウンセリングを受けて、「平等型」にしてしまえば色んな社会問題も解決するかもしれない。
そんな可能性も見えてくる本だった。