【感想・ネタバレ】「即興詩人」の旅のレビュー

あらすじ

画家・安野光雅が「無人島に持っていく一冊」と公言してはばからない、森鴎外訳の『即興詩人』。童話作家アンデルセンの自伝的名作を、100年前に日本に紹介した鴎外の雅文体の美しさに魅せられ、波乱万丈のラブストーリーに胸躍らせて、物語の舞台のイタリア各地を巡った紀行画文集。「声に出して読みたい」原文をたっぷりと引用しながら、ローマから始まる『即興詩人』のストーリーと、画家の紀行文と美しいスケッチと。1冊で3回楽しめる、安野光雅イタリア紀行画文集。
◎「カプリ島を去るとき、もうこの島に来ることもないだろうな、と思ったものですが、わたしは、また同じ道を行くかもしれません。何年か先、すっかり年をとって、杖でもついて、おろおろとあのあたりを歩いているのじゃないか、という予感がします」(あとがきより)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

即興詩人のストーリーに沿って、画家本人が旅をしながら、イタリアの名所をスケッチした本。


即興詩人が読みたかったわけではなく、安野さんの絵が見たかったので買った。


物語のあらすじとともに、森鴎外の訳を引用しているので、なんとなくではあるけれど即興詩人がどんなストーリーなのかはわかる。でも画家本人は、これを読んだからと言って即興詩人を読んだ気になって欲しくない、と断っている。あくまで紀行画文集として楽しむ本だ。


画集としてはとても良い。安いし。即興詩人のストーリーを知らなくても、描かれている場所は有名なところがほとんどなので、絵だけ眺めていても楽しい。なんで表紙に中の絵を使わないのかが不思議だ。


美しいという鴎外訳の即興詩人を読んでみたくなったけど、引用されているような文章が延々と500ページ近くも続くのかと思うと読み通せる自信がない。


主人公のアントニオが初めてつくった即興詩を参考までに引用すると、こんな感じ。


「詩神は蒼茫たる地中海を渡り、希臘(ギリシャ)の緑なる山谷の間にいたりぬ。雅典(アテネ)は荒草断碑の中にあり。ここに野生の無花果樹の摧け残りたる石柱を掩へるあり」
 
美しい。でも、あきらめる。

0
2017年08月15日

「エッセイ・紀行」ランキング