あらすじ
たまかさんほど被害者目線に立って性暴力について書いてきた人を知らない。
もう社会は変わらなければいけない。
――長田杏奈(ライター)
日本では、多くの女性が痴漢に遭う。
みんな、あまりにも日常的すぎて、なんでもないことのようにやり過ごしてしまう。
日本では、レイプに遭ったら、必ずしも法律が被害者を守ってはくれない。長い間、これはおかしいと声を上げてきた人たちがいるが、その声はかき消されてきた。
性犯罪や性暴力に対して声を上げてもなかなか信じてもらえない。
単に告発だと受け取られる。
でも、その声からは、内省も、やさしさも、前に行こうと信じる力も感じられるはずだ。
2017年性犯罪刑法が改正され、#metoo が続き、2019年4つの性犯罪裁判が立て続けに無罪となり、フラワーデモが起こった。
本書は、まだ社会に届かない小さな声の集積だ。
あなたの隣人、友人、家族も当事者になりうる。
性犯罪、性暴力への偏見や誤解をほぐし、やさしい社会を築くため、2017年から2021年、女性たち、支援者たちの声の記録。
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【もくじ】
はじめに
1 性犯罪刑法と#me tooとフラワーデモ
2 高校生が、電車で、性暴力被害にあう
3 キメツけられる
4 人はフェミニストになる
5 女は怖いのか
6 境にいる人
7 未来のことを考え隊
8 男社会の門番
9 痴漢は短いスカートのせい
10 痴漢が「お客様」だった頃
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
前作『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話しを。』から4年が経過し、性暴力被害、年齢差別、ジェンダー格差、など、多くの人がフタをする問題を取材し、発信し、声をあげるライター小川たまかさん。本書は、緻密に、そして多面的に調査し、インターネットとSNSの書き込みも明確にし、性暴力被害の裁判録とその課題、特に被害女性へのセカンドレイプの問題などを明らかにしていく。野球場のビールの売り子がなぜ女性が多く、マネージャーの男性から支配・搾取される自身の体験。痴漢被害者については、牧野雅子さんの著書「痴漢とはなにか 被害と冤罪をめぐる社科学」と連携する内容が充実。痴漢の加害と被害、警察と裁判のありようなど、これからの課題を問題提起する。ジェンダー問題に潜在化する様々な課題が綴られ「はっ」とすることも多い。男女を問わず、多くの人に手に取ってもらって知見を広げて欲しい。
Posted by ブクログ
性暴力問題に関するフリーライターによる、2014〜2022までの記事
2,30年前は今からでは驚くほどの悲惨な状況であったが、こういった方々の活動により社会はましにはなってきたのだなと感じさせられる。
もちろん、残念なことにまだまだ先は明るくないが、性暴力を始め様々な問題も、情報を発信してくれている人に目を傾けるだけでも少しでも良い方向に進むことができるのかもしれない
Posted by ブクログ
性犯罪が軽んじられる現代日本社会の、その現実が書いてある。私はどの文章にも共感したし、そのことに絶望した。女の人権が"当たり前に"無視されている社会の話。世間で性犯罪に対しての糾弾や告発を「大げさだ」「女も悪いだろう」と思うことがあるなら、この本を読んでみるといいんじゃないかな。これには真実しかない。 ベストセラーになってほしい。
Posted by ブクログ
初めて知った『犯罪機会論』これは目からウロコ!
知恵と気配りでそもそもの犯罪に会う機会を減らす
という社会の実現を強く望む
うまく言葉を操れないのがとても口惜しいが
犯罪は加害者が悪い
被害者を責めるとかは違うと思う