【感想・ネタバレ】DV後遺症に苦しむ母と子どもたちのレビュー

あらすじ

苦しみは暴力の後にやってくる!

父の暴言・暴力におびえつづけた母と娘。母が離婚すればすべてはよくなるはずだった。だが離婚後、恐怖にさらされた母の人格は徐々に壊れていく。そして、娘自身も父の面前DVの記憶と歪んだ母への対応に苦しめられる――。

DV家庭に育ったノンフィクションライターの著者が抱いていた「DVには後遺症がある」という実感。DV後遺症とはどのようなものなのか。暴力と恐怖の爪痕によって心と脳を蝕まれた被害者には、フラッシュバック、自律神経失調、感情鈍麻、ひきこもり等々、さまざまな症状が表れる。

夫のDVで傷つき別れた後から心身の変調に悩まされる妻、親の暴力を目の前で見聞きして育ち成長後もフラッシュバックに襲われる面前DVの子ども、被害者支援団体、精神科医に取材し、その複雑なメカニズムを明らかにする。DV後遺症の理解から自分を取り戻す第一歩がはじまる!

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Posted by ブクログ

DV被害者の生活が書かれていてとても参考になった。
私も当事者であるので、読んでて辛くなる場面もあった。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

著者自身がDV被害者で、自分の記録を書きつつ、他の被害者たちにも取材しまとめたもの。
著者もなかなか苦労しているが、取材したほかの被害者たちの経験があまりにも壮絶で、苦しんだであろう著者が「私はそうでもない」と言ってしまうくらい。
被害経験のある人はフラッシュバックを起こす可能性があるので、読まない方がいいかもしれない。

DVという言葉もずいぶんと社会的認知がされてきて、以前ほど、被害を打ち明けても相手にさえしてもらえないなんてことは少なくなってきていると思うが、それでもまだまだ理解は乏しく、支援者の立場にいてさえ、きちんと勉強していなければ間違った対応をしてしまいかねない。家庭内のことだけに表面化しにくく、ましてや子どもが被害者の場合、実際に暴力を受けていなければその重症度も適切に理解されないのだ。子どもの面前でのDVが子どもの脳を萎縮させるという、より深刻な影響を及ぼすことが科学的に証明されているというのに、だ。そしてDV被害者自身も、自分が被害者であることに気づきにくい。そこに、この問題の深刻さがある。

日本はかなり遅れているが、アメリカはDV支援の体制がとても進んでいて、たとえ警察官であろうと弁護士であろうと、DV支援のためには必ずDVについて学ばなければならないシステムがあるそうだ。また著者が取材するなかで、アメリカの裁判官が「被害者は支離滅裂で嘘も多くて変な人。加害者は理路整然としていていい人に見えるが、これがDVの本質。ずっと支配されて夫の顔色をうかがっているうちに妻は病み、支配しているほうは病まない。」と言っていた、という話を聞いたそう。まさにその通りで、私も今まで、そんなパターンをいくつも見てきた。その事実を知らない人にはDV支援はできないだろう。
そしてDVの渦中にあるときには、辛い感情を抑圧し、毎日を生き延びることだけに全集中するしかないが、加害者と離れ、抑圧する必要がなくなるとそれまで抑え続けてきたものが爆発して、いろいろな症状が出てきてしまう。加害者が悪いのに、被害を受けた方は命がけで逃げ、何とか逃げおおせても今度はそれまでの苦痛がもたらした後遺症に悩まされ、苦しみ続けなければならないなんてあまりにも理不尽ではないか。
夫を逮捕して終わり、逃げて終わりではなく、その先の妻の人生の立て直しにこそ、手厚く切れ目のない支援が必要だろう。
そして忘れてはいけないのは、社会も、正しくDV被害について理解しなければならないということ。
DVがまかり通っている家庭では、外からは想像もつかないような悲惨な事態が巻き起こっている。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

DVという言葉が一般的になってきた昨今。
著者の林先生自身が当事者ということもあり、ご自身が本にまとめるのにもかなり心身を削る作業だったのではと思いを馳せずにはいられない。
友田先生が仰るとおり目撃するだけで脳機能に大きな影響を与えることが、エピソードからも良く分かる。
備忘録
・NPO法人 レジリエンス
・NPO法人 女性ネットSaya-Saya

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2022年10月02日

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