あらすじ
【24歳の著者が挑む! 日本の「いま」を切り取ったチェーンストア都市論】
私たちの生活に欠かせないチェーンストアは都市を均質にし、街の歴史を壊すとして批判を受けてきた。
だが、チェーンは本当に都市を壊したのだろうか。
1997年生まれの若き「街歩き」ライターはその疑問を明らかにすべく、32期連続増収を続けるディスカウントストア、ドン・キホーテを巡った。
そこから見えてきたのは、チェーンストアを中心にした現代日本の都市の姿と未来の可能性である。
ドンキの歴史や経営戦略を社会学や建築の視点から読み解きながら、日本の「いま」を見据える。
【推薦!】
■石田英敬 氏(東京大学名誉教授)
ドンキめぐりはクセになる、読み出したら止まらない、ドンペン探偵が読み解くチェーンストア記号論。
■宮沢章夫 氏(作家・早稲田大学教授)
まず「肯定する」という態度がここにはある。正直、ドンキが渋谷にできたとき、80年代の渋谷を知る者は苦い気持ちを味わった。世代的にそんなことなど関係ない著者はドンキを中心にロードサイドやショッピングモールを肯定する。そしてその「肯定」が、いま私たちを取り巻く資本の構造への、見事な批評になっている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今や一大チェーンストアへと成長したドンキ
ホーテ。通称ドンキですね。
2021年12月時点で国内店舗数594、海外92
店だそうです。
ドンキといえばごちゃごちゃしたジャングル
に例えられる雑多な商品陳列がよく知られて
います。
全ての店がこのような陳列であり、本来個性
的とされたこの点が、どの店でも没個性とし
て再現されているかといえば、答えはイエス
でもあり、ノーでもあるのです。
実はドンキは店舗毎の「多様性」「個性」が
溢れているのです。
そしてそれは外装のあのペンギンにも表れて
います。
出店の際は地域住民の反対運動などにも発展
した過去あるがゆえに、実はかなりの地域性
地元色を重視していると思しき工夫が数多い
のです。
それらの考察をまとめた一冊です。
Posted by ブクログ
面白かった!
全体的にちょっとこじつけめいた部分はあるが、ヴィレヴァンとの対比を通してドンキの位置付けを定義したり、ドンキが地域に融和していることを説明する材料として「居抜き」を選んだりなど、著者独自のセンスを感じる点が多々あってよかった。
いろんなドンキに行ってみたくなった…浅草のドンキのエレベーターにスカイツリーだけではなく凌雲閣があるというマニアック情報、おもしろい。
ドンキの新店ができるたびに一度足を運んで、その地域とどう結びついているのかを観察したいなと思った。
Posted by ブクログ
ドンキホーテについて、民俗学的な視点で研究した本。
ドンペンとは、そのサンタ帽と短い手を広げた姿によって「内と外」や「生と死」という異なる世界を融和させる力をそこに秘めているのではないか、という投げかけはクスッときたが、
かつて嫌われるイメージがあったために地方都市・地域住民に馴染むように、かつ居抜き戦略で中にお金をかけない分、外側ででドンキらしさを伝えられるように、ドンペンを外に出しているという視点はなるほどと思った。
居抜き戦略は地元の歴史の継続にも貢献しており、景観や内装の保存に役立っている。
ドンキは地域と対立してるように見えて、実はそれと融和してる働きをしてきたというまとめは、画一的、資本主義的なイメージを進めるチェーンストアとは一線を画すお店なのだと感じた。
Posted by ブクログ
ドンキホーテをメインにチェーン店について述べた本。居抜きで作ってあるとか、社長は泥棒市場という店を出していたとか興味深い話が多数あり。ヴィレッジとの共通項や差異も納得できる。
名曲『ミラクルショッピング』に合わせての解説も大変分かりやすい。
あと社長がドンキのベースみたいな手法にある程度見切りをつけている(黒字続きでも)のには驚いた。
素人には理論がこじつけにも読めるが昔の人も同じ人間という事で根幹は変わらないのかもしれない。
Posted by ブクログ
ドン・キホーテのペンギンの考察から、ドンキが居抜きによって発展していく様、地域性のあるドンキの姿などを記した本。
かなり斬新な着眼点ながら理にかなっていると感じたし、ドン・キホーテの構造や戦略には理解できない部分があったが、この本を読んで納得する部分が多々あった。
何より街中のドンキを見るのが楽しくなった。良著。
Posted by ブクログ
この本を読んでまず面白かったのは、ドン・キホーテを「安売り店」や「ヤンキーの店」といった単純なイメージだけで終わらせず、現代日本の都市や消費文化を読み解く対象として真面目に分析している点だった。普段ドンキに行くと、派手な看板や雑然とした売場、圧縮陳列などを“なんとなくそういう店”として受け入れていたが、本書を読むと、その雑多さ自体が意図された空間設計なのだと見え方が変わる。特に第二章の「ジャングル」という表現はかなりしっくりきた。ドンキは目的の商品を最短距離で買わせる店ではなく、歩き回っているうちに予定外の商品に出会わせる店なのだと思った。
また、第一章のドンペンや過剰な外観の話も印象的だった。普通の企業なら、ブランドを洗練させ、統一感を持たせようとする。しかしドンキは、多少悪趣味に見えても、とにかく記憶に残ることを優先している。ドンペンも、合理的に考えれば“なぜペンギンなのか”は説明しづらいが、逆にその意味不明さが強烈な印象になっている。現代は情報量が多すぎて、整っているだけでは埋もれてしまう。その中で、ドンキは「違和感」や「過剰さ」を武器にしているのだと感じた。
特に興味深かったのは第四章の居抜き論だった。これまで居抜きは単なるコスト削減策くらいにしか考えていなかったが、本書では「街の歴史を引き継ぐ行為」として描かれていた。元スーパーや元パチンコ店の痕跡を残しながら営業しているドンキには、確かにどこか独特の空気がある。普通のチェーン店は建物まで均一化しようとするが、ドンキは建物のクセや古さをそのまま飲み込んでしまう。その結果、店舗ごとに違う表情が生まれているという視点はかなり面白かった。
また、本書全体を通して感じたのは、「チェーンストア=悪」という単純な話ではないということだった。もちろんチェーン化によって街の個性が失われた面はある。しかし一方で、現代人はチェーン店に安心感や居場所も感じている。第三章で語られていたように、ドンキは買い物の場であるだけでなく、人が集まり、なんとなく時間を過ごす空間にもなっている。昔ながらの地域共同体が弱くなった今、チェーンストアが新しい“ゆるやかな共同体”になっているという指摘には納得感があった。
この本は単なる企業分析本ではなく、「現代の日本人は何を求めているのか」を考えさせられる本だった。便利さや効率だけでは満たされず、少し騒がしくて、雑多で、予測不能な場所に惹かれてしまう人間の感覚が、ドンキという存在に強く表れているのだと思う。
Posted by ブクログ
著者が渋谷を語ったネット記事が面白かったことがきっかけで本書を手に取った。
ドンキというチェーンストア普及によって都市の特徴がどう出ているかを論じている。
何となく文章や論理構築が背伸びしている感はあるが、書きようによって説得力が激変する気がするからいずれ改訂版を書いてほしい!
都市の均一化という言葉には破壊された過去の都市景観への哀愁も漂っているから、この本のように、新しくどのような都市が生まれているのかという議論に持っていくのは意味あることだと思う
ドンキの経営戦略をもっと知りたいと思うようになった。
Posted by ブクログ
チェーンストアは既存の都市を均一化するのか。
実はそうでもないんじゃないのということをチェーンストアの「異端児」ドンキを分析しながら掘り下げていく。
一般化というか、全体の傾向として設定された問いを、異端児と認める形態から分析していくという宣言がもう、どうかと思う。
結果的に、均一化という大きな主題を枕に、ドンキの分析をしているような本。
経営学者でも都市や文化の専門家でもなさそうな著者が、いろんな先人の研究の上澄みを啄んで「お気持ち」を表明しているような印象を受けた。
大体、ドンペンがなぜドンキにいるのかの分析で、構造化論とか、文明論とか、いろんなことぶち上げる必要があったのか。
ドンキが、祭りであるのは判る。
居ぬきを多様化するし、現場への権限移譲を積極的にやってるので、個々のドンキが「均一」でないことはそうだろうが所詮ドンキという「均質」であることからは一歩も出てない。
そこに人が集まるという意義も見出しているが、そのために既存の商店街やつながりが壊れるも事実。近所の商店に行って買い物する光景と、そこに人が集まるのと、遠くのドンキにわざわざ行くことは、異なると思う。
ただ、それが悪いのかというのは別。
消費者としては、どこに行っても安定したものが安定した価格で必ず手に入るというのは魅力で、大量集積型の小売りが有利だし求められるもの事実でしょう。
田舎を車で走ってみれば、ちょっとした繁華街にある店は、すべてどこかで見たようなものであり、それで安心するのも事実なのだ。均一化が、必ずしも悪いわけではない。すべてが均一化するわけでもない。
ちょっとテーマに沿ってない気がして、どうだかな。