【感想・ネタバレ】和らぎの国 小説・推古天皇のレビュー

あらすじ

『利生の人 尊氏と正成』で日経小説大賞を受賞した天津佳之氏の受賞第一作は6世紀末に即位した史上初の女性天皇、第33代、推古天皇を主人公に、この国の精神のなりたちに迫る野心的な作品。神代から始まる『古事記』はこの推古天皇の時代で終わっており、まさに日本が神話から歴史に移る時代の物語です。「和を以て貴しと為す」初の成文法・十七条の憲法、「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す」との国書を中国の皇帝に捧げた初の遣隋使、氏姓によらない朝廷内の官僚の序列を初めて示した「冠位十二階」……朝廷が次々と国家体制を整える改革を断行したのは、推古天皇の御代でした。摂政・聖徳太子が主導し、政治を安定させるべく仏教の興隆を進めるなか、激動する東アジアとの関係を巡って生じた軋轢をも融和させる女帝の祈りに、人々は神代の昔から続く、この国に在る真心を見ました。和らぎの国とは、はたして――奇しくも昨年2021年は聖徳太子の1400年忌にあたり、この作品にも登場する聖徳太子創建の法隆寺はじめゆかりの寺院で盛大な法要が営まれ、大阪と東京の美術館・博物館では聖徳太子をめぐる特別展覧会が開かれたばかり。本作には、聖徳太子の伝説をめぐる、あっと驚く仕掛けも隠されています。

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Posted by ブクログ

奈良県特に盆地にすむ人には身近な地名の由来含めて非常に学びも多い。改めて橿原市、明日香村、斑鳩町(法隆寺)平群町、葛城市などなどの地を巡ってみたくもなる。
磐余、久米、十市、高市、磯城などなど地元の人しか知らないような地名も多数出てくる。

歴史としては、なぜこの時代の日本が朝鮮半島に影響を持てたのか、十七条の憲法、仏教信仰、遣隋使、日本書紀というものが必要だったのかなどが腑に落ちる。

和をもって尊しと為す

日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す

この名フレーズに結びつけるストーリーも秀逸。
著者のロマンチストが炸裂する一作。

この時代の小説で飽きずに読めた初めての作品かもしれない。

個人的には平群宇志推し。ドラマ化も見てみたいなぁ。

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2024年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

歴史小説が好き、しかもこの時代!
古代の歴史でまず思い出すのが永井路子さんの本、あれこれ。
また別な角度からの本もあったし、コミックもあったし~
とにかくワクワクが止まらない古代史。
歴史小説。

この本もまた、新解釈で小説として読むのでしたら、手に汗握る場面もあり、本の世界にどっぷり沈み込める!
史実がどうのより、楽しい読書としておすすめです。

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2022年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

推古天皇が天真爛漫、よく笑う素敵な人。戦闘シーンの迫力が凄いです。
小野妹子の皇帝謁見のシーンは緊迫しているのにコミカルで笑ってしまいました。

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2022年03月08日

Posted by ブクログ

■飛鳥時代を小説として読むことは難しい。文献が少なく、欠けた時間を想像で埋め合わせる。人の名前が現代から見るとかなり違っているし、平安時代以降の人名とも異なる。正確性を期すためだと思うが、「推古天皇」「聖徳太子」の名前で語られていない。更に文章が硬い。講談本のような気楽さで読むことはできない。
■「和をもって貴しと為す」と日本史で学んでいたが、本書では和を「やわらぎ」と解釈している。詳しくは本書に譲るとして、推古天皇、聖徳太子の事績は344ページに凝縮されて書かれている。また、蘇我馬子と蝦夷の関係なども別ページに書かれている。
■小説推古天皇と言いながら、聖徳太子の功績の記載にかなり割かれている。聖徳太子没後1400年でその前半生がかなり武闘派な側面もあったことが注目されるが、後半生は推古天皇、蘇我馬子と共に日本国の礎を築いた政治力はやはりかなりのものであったろう。また、百戦錬磨の蘇我馬子をも使いこなした推古天皇も器量の大きな人物であったろう。面白かった。

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2022年05月15日

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