あらすじ
物語は近未来21世紀初頭。
地球上のあちこちで、肩甲骨が翼状に変容し、幻覚におかされる天使病という死に至る病が蔓延してきた。
その感染によって世界中の各国では旧来の秩序は崩壊。
宗教、経済、軍事など、さまざまな問題もはらみ、人の心の不安がむき出しとなった世界---
すべてが異端の地となった世界を、その「発端」をさぐるため、謎の少女セラと二人の男・バスタザル、メルキオル、
そしてバセットハウンドのガスパルは、旅を続けていた。
目指すは新疆ウイグル自治区南部にある中国最大の砂漠、タクラマカン砂漠---。
天使、鳥、バセットハウンド--- など。
作中で使われているモチーフを見れば一目瞭然ですが、押井守の原作として、
宮崎駿氏による『風の谷のナウシカ』の長期連載が終了した「アニメージュ」誌で、
その枠を継ぐ漫画作品として企画されたものです。
しかし、連載が1年を越えるころを境に、押井と今の対立が表面化します。
著者表記の「原作」が「原案」へと変化し、物語は完結を迎えないまま、
全16回の連載が過ぎた1995年11月号で、唐突に終了します。
ほぼ同時期に、押井守は世界的評価を経た監督作『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を発表。アニメーション監督に転身した今敏は1997年に、こちらも海外に大きな影響を与えた初監督作品『PERFECT BLUE』の公開に至ります。
本作品執筆を契機に残念ながら決別をすることとなってしまう二人の世界的クリエーター。
互いに長年口をつぐんでいたものの、このたびの《増補復刻版》では、その一方である押井守のインタビューを新規取材・収録するスペシャル版としてお届けします。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「ナウシカ」の連載が終わった「アニメージュン」が押井守を原作に招聘、作画に今敏を据えて初めて大型企画であったにも関わらず、押井守と今敏の関係悪化により未完で終わったしまったSF大作。
謎の疫病「天使病」の蔓延と、それにより大量に発生した難民のよる世界秩序の混乱により、ユーラシア大陸全域が封鎖された近未来の世界を舞台に、WHOより派遣された謎の少女と東方の三博士の名で呼ばれる二人の男と一匹の犬が「天使病」の震源であるタクラマカンを目指すという話。
天使に犬、ポリティカルフィクション要素やミリタリーと押井守の好きそうな要素を全部突っ込んだ内容。面白くない訳がない。
巻末に押井守のインタビューが掲載されてるが、まぁ喧嘩別れもし仕方がないかなという感じ。
Posted by ブクログ
(未完の作品なので、万人におすすめできないのが前提です)
押井監督の『天使のたまご』見たときに友人におすすめしてもらって読みました。実際大正解だったので、天使のたまご→本書の順で楽しむのがおすすめです。押井守最大の大風呂敷を展開した本書では、他の映画作品などでも描かれたモチーフやアイデアがちらつくものがあり、同氏の理解が深まります。
Posted by ブクログ
セラフィム 2億6661万3336の翼
急逝した今 敏氏作画、押井 守氏原作と聞いて急ぎ購入しました。1984年から1985年にかけて「アニメージュ」誌上にて大型企画として連載されていたもののようです。
羽が生え死に至る奇病のため、封鎖されたユーラシア大陸。そこに、奇病のキャリアでありながら発病しない少女と三賢人になぞらえた二人と一匹の犬が、奇病の発生源とおぼしきタクラマカンを目指す。
そんな緊迫感あふれる近未来SFの物語です。
史実を元にした、様々な衒学が語られ、中国の秘密結社の争乱に巻き込まれながらも、物語はユーラシア大陸内陸部を目指す・・・ところで未完で終わってしまいました。
ちゃんとチェックしていなかった竹蔵も悪いですが、”あらら・・・”という感じは否めません。最後まで読みたかった。押井さん、映像化して下さいませ。
竹蔵