あらすじ
京都に住む主婦の江本夏子は、大学助教授の夫の突然の辞職と留学を機に、同窓の女流作家への対抗心から小説を書き始めた。新進の推理作家、矢木俊太郎と微妙な関係を持ちながら、華やかな作風と気性の激しさで流行作家に上り詰める。ミステリーの女王、故山村美紗。「戦友」にして「恋人」でもあった著者が彼女に捧げる「事実八割」の衝撃の自伝的小説。
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Posted by ブクログ
流行作家というのは怖い。
山村美紗と西村京太郎の関係を告白するような本を、小説として書いてしまう。
おまけに出版社との関係や、京都の舞妓の旦那になる仕組みや、
京都の文化についても露吐している。
山村美紗が書きそうな小説を、西村京太郎が書いている。
西村京太郎が山村美紗にささげる小説であることはわかる。
最後の32歳の写真という題材があるが、
朝日新聞社から出た版には、山村美紗が32歳の沖縄での写真がある。
女性の読者はどう思うかわからないが、
主人公の感情の変化も山村美紗らしい。
旅行ものと京都ものの分担の必要がなくなった今、
西村京太郎が京都ものも書き継ぐことができることを示している。
人生と出版界の縮図をあらわしたような本である。