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安房直子さんは絵本で読んだことあったけど、短編集はNaffyさん画のこの表紙に惹かれて初めて読む。
ノスタルジックで優しく少し不思議。読んで心が凪いでいき、大変良かった。
大好き。
もっと安房直子の世界に浸りたいと思ったので他の作品も読んでみたい。
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この本大好き!ファンタジーの魔法をかけてもらえるような素敵な本。
「急に、おばあさんは、楽しくなりました。めったにないようなすてきなことが、これから始まるような気がしてきました。」
これは本文中の一節なんだけど、おばあさんだけじゃなくて私も読んでいてほんとうにわくわくしてしまうのだ。大人向けの童話ということだけど、子供でも読めそうではある。
全編通して始まりにはしんみりした寂しさが漂っており、そこにやってくるファンタジーがぽっと明かりを灯してくれるようなお話が多い。動物たちとの素朴で楽しいやり取り、手のひらに収まる不思議な宝物。どれも好きだけど、「あるジャム屋の話」「星のおはじき」が特にお気に入り。
ただほんわかした話には収まらないところもあって、「星のおはじき」「天窓のある家」「日暮れの海の物語」は盗人・裏切りの物語だ。後ろめたい気持ちを抱えた人間と、木や動物のお話。「星のおはじき」はクラスメイトのおはじきを盗んでしまった女の子を柳が優しく慰め、おはじきと「あなたの心」を預かってあげると提案してくる。あくまで「預かってあげる」のがミソなのだと思う。預かったものは、いつか返してもらわなくてはならない(そこまではお話の中では書かれていないが)。その重さに耐え、罪を自分の中にきちんと収めて持っていなくてはいけない。他二編を読んでも、そういったことが前提されているように思うのだ。
不思議な交友の温かい思い出も、後ろめたい思い出もその人の中にあり続けて、ふとした時どこかから顔をのぞかせ、その人の胸の内に光と影を作るのだろう。読書の思い出も、そういうところがある。この本も、私の心に植わっていてほしいと思うような素朴で豊かな物語だった。また読みたい。
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十二篇のファンタジー短編集。
ひとつめの”黄色いスカーフ”から、もう虜になり、想像がつかない展開にワクワクしながら読みました。少し切ないストーリーもありますが、一話一話が美しくて、うっとり幸せな気持ちになる童話集です。
1番心に残ったのは”春の窓”。本を閉じた後も物語が続いているような余韻に浸っています。
自然や動物たちが、自分にも話しかけてくれないかしら…なんて想像するだけで楽しい。夢の世界に連れて行ってくれる一冊でした。
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周りの動植物や物たちの心の声を具現化したかのようなやさしさが、望まずとも孤独を感じて生きていかねばならない人達に届けられる物語は、私のような、今でもひとりぼっちで暮らしている人間にとって、温かくも切ない思いに駆られます。
主人公たちの年代も、少女時代のささやかな思い出が蘇ってくる展開に、安房さんのやさしさを感じさせる、おばあさんが主役の話や、貧しい家庭に生まれながらも思いやりをもった、健気な女の子の話など、様々です。
特に、後者の「海からの贈りもの」での、お祭りに行く女の子に、病気のおかあさんが、「これですきなもの買っておいで」と、渡した五十円玉二枚を、自分のものを五十円分、おかあさんのものを五十円分、買いたいと思う女の子の気持ちを思うと、物語とはいえ、そのやさしさに込み上げてくるものを止められません。
また、もう一つ印象的だったのが、表題作の「春の窓」で、ここでの猫があたたかいという話に、実はとても共感できるものがありました。
というのも、この話を読んだとき、以前、住んでいた家から通ってた公園で、歩道の縁石に座っていた私の膝の上で、丸まって眠ったノラを思い出したからなんですけど、その時の温かさは、本当にひとりじゃない気持ちが芽生えた喜びで胸がいっぱいになって、しかも、それが幻想でなく、ノラの存在をはっきり証明する重さを実感したときの嬉しさといったら!
そうした体験を踏まえながらも、更に、その先の素敵な幻想世界を見せてくれる、安房さんの物語には、老若男女すべての人が持ちうる、ふとした時に感じるやり切れなさや孤独に、そっと寄り添って温めてくれる、ささやかな愛を感じられました。
しかし、その愛も、本書を読み終えた途端、現実に戻ってきたような感覚で消滅してしまい、行きどころのない壮絶なもの寂しさを感じた私は、思わず、庭の木々達に縋るような視線を向けていたのでした。
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安房直子さんが大好きで、全集も、昔講談社文庫から出てたのも持ってるんだけど、また文庫で世に出たのが嬉しくて買ってしまった。
「ゆきひらの話」が好きです。
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安房直子さんのファンタジー 、すごく好きです。
今日は一日、この本をゆっくり読んでいて、とても幸せでした。12編のお話は、どれも、どこか懐かしくて、優しい、切なくも美しい作品ばかり。
特に 『あるジャム屋の話』と、表題作の『春の窓』が、すごく良かった。読み終えると、心がぽかぽかになっていました! (*^_^*)
日常から、不思議な世界へといざなわれる、極上の時間を楽しませていただきました。
とてもあったかく、優しい気持ちになれます。
おすすめ!
2022年2月23日
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通勤中に読んでいた。
本の世界とはかけ離れた環境で読んでいた。
かえってその分安房直子さんのファンタジーにすいこまれていくようで、心地よかった。
また来年の春位、内容を忘れちゃった頃に再読しよう。
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春の陽だまりにいるような心がポカポカとぬくぬくするお話が多かった。
子供向けというより大人の童話。
孤独を感じたり、人生に疲れたりした大人の心を温めてくれる。
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ちょっぴり不思議で、夢の中にいるような世界を描いた短編集。
季節の変わり目にふと感じる寂しさも、ふんわり漂うそよ風や柔らかな陽射し、優しい木漏れ日に慰められる。
寒くて薄暗かった冬を越えようやく訪れた、待ち焦がれた春。
それは自分で部屋の窓を開けなければ気付くことのできない嬉しい瞬間。
森野屋の美味しいジャムもおばあさんの心を明るくする黄色いスカーフも、海から届くカワイイ電話もすてきな贈りものも、ゆきひら鍋で作った温かなりんごの甘煮も、全てが春の淡いまぼろし。
特に『黄色いスカーフ』『海からの電話』『ゆきひらの話』が好き。
寝る前に一話ずつ。夢の世界へと優しく誘ってくれる短編集だった。
Posted by ブクログ
安房直子さんの物語はファンタジーだけど、どこかピリリとシュールだったり、人間臭かったり、それでいて心に残る。題名の「春の窓」が好き。ジャム屋のお話も、気長な奇跡がいいね。