あらすじ
「おまえを見守りながら、ただ静かに泳いでいた」。美しい元オリンピック候補シゲルに惚れてそばで尽くすようになった牛松。そして今、時間のとまった酒場で、自分と同じ、秘めた「愛」を生きようとする息子に父親として語りはじめる。よろこびと苦渋にみちた、過ぎ去った青春の日々を。「愛」を問いつづける作家の宿命のラブ・ストーリー。(『青春 父さんの恋物語』改題)
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Posted by ブクログ
昭和の香りが凄い。差別意識、差別用語も凄い。もう少し文学作品的な側面でリベラルなものが書かれているのかと思っていたが、言い方悪いですが下品という言葉に近いような場面、言葉遣い、内容がいくつもあった。これが時代の流れというものか。主人公も人間としてのあり方もいまいちよく分からない。男性的なのか女性的なのか。分裂的であまり人間を上手く描けていないと感じた。
モスクワ五輪を念頭に置いているというのが素晴らしい。政治的問題により全日本人選手が出場辞退となったモスクワ五輪。それがあらかじめ分かっているからこそ、一瞬一瞬が儚いもののように思われる。結局のところ、二人の思い出の頂点は和歌山にあるというのがあまりにも哀しい。