あらすじ
【内容紹介】
テスト生から戦後初の三冠王へ、
そして、プロ野球史に残る名監督へ——。
「知る」ことに貪欲であり続け、「考え抜く」ことにこだわり続けた、稀代の野球人・野村克也氏。
いまを生きるすべての人に送る、人生哲学の集大成。
プロ野球人生66年間で遺した、365の格言を完全収録!
巻末には、ノンフィクションライター・長谷川晶一氏の解説も掲載。
【著者紹介】
[著]野村克也
1935年、京都府に生まれる。京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。
3年目の1956年からレギュラーに定着すると、現役生活27年にわたり球界を代表する捕手として活躍。歴代2位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などその強打で数々の記録を打ち立て、 MVP5回、首位打者1回、本塁打王9 回、打点王7回など、タイトルを多数獲得。
また、1970年の南海でのプレイングマネージャー就任以降、延べ4球団で監督を歴任。ヤクルトでは「ID野球」で黄金期を築き、楽天では球団初のクライマックスシリーズ進出を果たすなど輝かしい功績を残した。2020年2月11日逝去。
【目次抜粋】
◆第1章 志 夢を叶える心得
・人間の、最大の悪は鈍感である
・すべては、己を知ることから始まる
・小事、細事が「大事」を生む……
◆第2章 指導 リーダーの条件
・教えることは、あたりまえではない
・「怒る」は感情であって、「叱る」は理論
・失敗がない人は無難に見えるが、成長もない……
◆第3章 戦略 組織を動かす極意
・リーダーの器以上に組織は大きくならない
・勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
・データを活用できない者は勝者にはなれない……
◆第4章 不惑 生涯現役の理念
・感動のない人生ほど、つまらないものはない
・「善人」と「悪人」がいるのではなく、「弱い人」しかいない
・大切なことは、欲から離れるとよくわかる……
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Posted by ブクログ
思考することの大切さについて教えてくれる一冊。
まずは己を知ること。
自分とはどんな人間なのか、何が強みなのか、何があれば幸せで、何をして喜ぶのか、何のために生まれて何のために生きるのか、そこを明確化させることから全てが始まる。
自分のセールスポイントは何か?その裏側にある欠点は何か?冷静に分析する。
そのうえで、「これだけは誰にも負けない」を作る。
内省して自分の心と向き合うこと。
考え抜いた戦略に基づいて小さなことの積み重ねを行い、自己確立することで平常心が養われていく。
思考するにあたっては、圧倒的な知識量が必要となる。
知識は読書や人とのコミュニケーションから得られる。
特に読書は知識の蓄積や思考力の向上のみならず、自身の表現力を大きく向上させる非常に有効な行為である。
その際メモやノートを取りながら行うと効果はさらに上がる。
人の上に立つ人間になるのであれば、知識量や表現力は必須のスキルだ。
野村氏は自身のことを「気づかせ屋」と言っているが、一流のリーダーを端的に表現した素晴らしい表現だと思う。
人は「やらされ」では動かない。
自分で気づいて納得したことでなければ、やらない。
大量の書物や知識や経験から生まれた、借り物ではない自らの血肉としての言葉は、必ず相手に届く。
物事の本質を短い言葉で表す。
ワンフレーズで気づかせる。
切れ味の良い日本刀でスパッと一太刀で斬るような
言葉には重みが生まれ、ますます人の上に立って組織を統率する人間になっていく。
どん底から這い上がった野村氏は、確固たる自分の哲学を持っている。
大きな苦悩を経験した人間は、持論を持っている。
「限界を見つけたところからプロとしての本当の戦いが始まる」
この一文には痺れた。
限界とは、すなわち究極の自己理解であり、そこから新たな可能性、気づき、希望が生まれる。
大きな人間になるため、もがきにもがき苦しんで、それでも限界の壁に跳ね返される苦しい経験が必要なのだ。
失敗と書いてせいちょうと読む。
結果は、「自信をつけるもの」と思う。
このあたりの認知の切り替えのテクニックはさすがだなぁと感じさせられた。
こうすることで状況でも前を向くことが可能になるからだ。
また、プロとは、「どうなるか」よりも「どうするか」そのプロセスを徹底する人間のことをいう。
という点にも気づきを得た。
プロとは職人のことである。
自分は何に徹するかを見極める。
野村氏は愛に溢れた人物だ。
生きるか死ぬかの世界でしのぎを削ってきた彼の哲学から学ぶことは非常に多い。
私は野村氏が大好きだ。
彼のような人物に私もなりたいと思った。
我以外皆我師