【感想・ネタバレ】不可触民~もうひとつのインド~のレビュー

あらすじ

「インド人口の約四分の一、二億五千万もの人びとが、三千年の昔に生まれたカースト制による差別意識に今も呻吟している。(中略)この人びとの置かれている現実の厳しさを、本書を通して少しでも感じて頂ければ幸いである」(「文庫版まえがき」より)インド観、人間観、世界観を根底から揺さぶる、衝撃の名著。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

不可触民という言葉はよく聞くし、理解しているつもりであったが、知らないことが多すぎた。(メディアで紹介されていることだけで知ったつもりになるのは危険だと再認識した)
ヒンドゥー教がカースト制度を生み出していること等初めて知ることが多く、不可触民であればひき逃げをしても許されることに納得ができなかった
某世界史サイトで本書が紹介されていて手に取ったが、本書を読むことができて本当に良かった。

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2018年05月04日

Posted by ブクログ

インド思想史などを読んでいたのでは、絶対に分からない、これほどに圧倒的な差別の現実を今まで知らなかったという驚き。これほどに情報が発信され受信される世界においても、抑圧される人々が発信の手段すら満足にもたなければ、2億の人々の驚くべき現実がかんたんに遮蔽されてしまうという事実への驚き。ひとつの制度の中で甘い生活を許されてしまった人間は、他者をどんなに苦しめようと、その生活を守っていこうとするのが現実なのだということの、大規模なレベルでの確認。

今後私は、不可触民の視点を意識せずにインドの精神世界に接することはできないだろう。インドの不可触民問題は、たんにインド一国における差別問題なのではない。インドにあれほどに連綿と続いた高い精神性の伝統と、その一方でその伝統と一体となったカースト制度。人間を差別し虐げる文化的装置として、これほどに強烈で徹底的なものはない。その矛盾の深さ。

この本を読んでこれほど強く何かを訴えかけられたように感じるのは、この矛盾の深さによって、人間とは何か、人間の歴史と文化とは何かという根源への問いかけを強いられるからだ。ここに人間とその文化の一面が剥き出しにされているのだ。

「自分たちの一番厭な肉体労働、不潔な仕事の一切を、世襲的に背負わせ、土地をあたえず『農奴』としてただ同然に働かせる。女は男のセックスの慰み物として、好きなように扱う。‥‥こういう存在が一億以上もいて、人々に奉仕してくれるのなら、だれだってそういう制度は、あってくれた方がいい、と思うじゃありませんか。」

こうしてしかも、衣食住については一切責任を負わないのだから、奴隷制よりもなお悪いと、不可触民は訴える。制度として保障されさえすれば、人は誰しもこうした文化装置のうえに乗ったっま、差別から眼をそむける可能性がある。現にそのような事実が3000年も続いてきたのだから。

インドの精神性に引かれれば引かれるほど、カースト制の現実にもっともっと眼を向けていきたいと思う。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

初版2000年という古い本ですが、現在のインドはその頃とどれだけ変わっているのだろう?特に農村に色濃く残る不可触民差別。きっとそれほどの改善はないのだろう。何千年と続くカースト制度、ヒンドゥーの闇。

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2017年10月11日

Posted by ブクログ

本書は14年前が初版ですが、現在のインドは一体どう変わったんだろう?当時から奇跡みたいに全てが変わっていて欲しいと心から思いました。現在の不可触民について知りたく渇望しています。

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2014年05月13日

Posted by ブクログ

ある女盗賊の本を読む前にこちらから


著者の乗った車が不可触民をひく。(逃げたので生死不明)彼らが非人間として扱われている印象的なくだりからはじまる

アウトカーストな彼らをハリジャン(神の子)とよび、カーストの最下層に組み込もうとする・聖人?ガンジーはブラーミン出身。

争いは否定しても差別はなくさない=ガンジーと対立するアンベードカル博士について知りたくなる


この本が出版されてから大分たちますが、状況はかわったのか…無知な私にとり色々考えさせられる事が多く、著者の続編に期待

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2011年03月02日

Posted by ブクログ

人道家が感情的に書いてる本かと思って構えて読み始めたけど淡々としててよかった。続編的なのあるみたいなのでそっちも読みたい。

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2014年10月23日

Posted by ブクログ

 インドの抱えているカースト問題を知るにはもってこいの本。インド社会の恐ろしい実情を垣間見ることができます。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

本当に恐ろしい話だ。人間が別の人間を、「お前は人間ではない」と決めつけるなんて。今だに、数十人の人間が一度に、さしたる理由もなく、生きたまま手足を切断され、灯油をかけられ、焚火にくべられ虐殺される。それを、村の人々がショーのように見物している。そんなことが公然と行われ、社会的にも黙認されている。昨今のITブームでインドは一躍世界の注目を集めている。本文中に、インドは21世紀的超エリート層から、千年前と変らぬ農奴として極貧層まで、数千年のジェネレーションギャップを抱えた社会だ、とあった。マハトマ・ガンジーが、不可蝕民(アンタッチャブル)を、「神の子(ハリジャン)」と呼び、差別の撤廃を訴えた。けど、実際のアンタッチャブルたちは、「ハリジャンなんて、うわべだけ取り繕って偽善を満たすような呼び方はやめてくれ」と痛烈にガンジー批判をするところは衝撃だった。ガンジーは日本では聖人だもの。ガンジーはあくまでもブラーマン(バラモン)だったのだ。カーストの中で生きているブラーマンにどうしてアンタッチャブルを救えようか。
こういう差別の実態を見聞するにつけ、本当に自分の無力を思い知る。が、そんな無力感に苛まれつつも、自分は「人を育てる」という職業に従事することで、ものすごく間接的にでもその問題に目をそらさない人たちを育てていく助けをするしかないんだなあ、と思う。(2000 Dec)

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2009年10月04日

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