【感想・ネタバレ】9つの人生 現代インドの聖なるものを求めてのレビュー

あらすじ

全編にわたって、むせかえるような聖性。
それが、猥雑で、エロスに溢れており、実に尊い。
ちまたにあふれている宗教の概説書を読むより、本書の読破をお勧めする。
――釈徹宗氏(僧侶、宗教学者)

紀行文学の名手が紡ぐ
魂の救済の物語。
鮮烈な伝統、信仰、霊性と歌の世界

◆内容◆
急速な経済発展を遂げ変化し続ける現代インド。その村々で伝統や信仰を受け継ぐ人々を取材した、紀行・歴史文学の名手による、19か国で翻訳出版されたノンフィクションの傑作。
死への断食に臨むジャイナ教尼僧。祭りの間、最下層の人間が神になる憑依芸能テイヤム。神に捧げられ娼婦となった女たちを守護する女神信仰。叙事詩を伝承する沙漠の歌い手。スーフィーの聖者廟に身を寄せる女性。かつてダライ・ラマ14世の警護をつとめ、亡命し兵士として人を殺めたことを懺悔するチベット仏教の老僧。約700年以上の伝統を汲む職人による官能的神像の世界観。女神信仰のもと、しゃれこうべを重用するタントラ行者。そして吟遊行者バウルとなった人々の遊行の半生――。
現代文明と精神文化の間に息づく、かけがえのない物語。

◆海外評◆
「文句なしにうつくしい本。高潔で誠実、そして啓蒙的で感動的。大好きな本、読めることが純粋に喜び」『食べて、祈って、恋をして』著者、エリザベス・ギルバート氏
「ジャーナリズムと文化人類学、歴史、宗教史の見事なまでの調和が、すばらしい小説作品のような描写力で文章に結実している。キプリング以来これほどインドの農村を魅力的に描き出した人はいない」インド学者、ウェンディ・ドニガー氏“Times Literary Supplement”紙

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

スコットランド人の著者(ヴァージニア・ウルフの甥!)が、インドで出会った、とくに印象的な9人について語った、という本。
たとえるならば、生の血を継ぎ目に使った家のようだ。内には澄んだ風が流れ、小鳥の囀りが聞こえてくる。いわゆる聖なるもの、と、俗なる、とされるものとが、それぞれの章でそれぞれの関わり方をしていると思う。どちらもほんとうは、過度に持ち上げたり、反対に遠ざけすぎたりするものでないことを、この本によって、教えられたと思う。

0
2023年12月31日

「ノンフィクション」ランキング