あらすじ
北九州地検の平泉検事正が官舎で殺害された。針金が首に食い込み、レンゲの花粉が現場に付着していた。わずか1ヵ月前、平泉と同期の島田検事正が同じ手口で殺されている。16年前、彼ら研修生仲間は大型クルーザー・海嶺号で釣り会を催し、壱岐へ行った。その釣り行に連続殺人の動機が秘められているのではないか!? 警察庁は捜査への全力投球を指令し、鹿児島県警刑事局長・清村一守が捜査の第一線に立った。
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Posted by ブクログ
1979年の西村寿行作品。
クルーザー船に乗り込んだ母親をレイプされ、幼い妹諸共、生きたまま海に突き落として殺した男達に復讐する男の物語。
殺人事件を捜査する鹿児島県警刑事局長・清村の視点から物語は始まり、復讐に怯える男達の視点の物語、復讐する側の男とその妻の視点の物語が重層的に語られます。
クライマックスは、山小屋に隠った復讐される側の男達が、復讐する男に怯えながら一人一人殺されていく、という、ホラー映画のような展開になるため、復讐成功のカタルシスは感じられません。
苦い味わいのラストシーンは、読者を煙に巻くように飄々として終わることが多い西村寿行作品の中では珍しいです。