あらすじ
ミス・コンテストの最終予選に残った5人の美女が、旬日に迫った発表日を前にして、脅迫・交通事故・怪死と次々と謎の事件に巻き込まれてゆく。時を移さず警視庁特捜班の執拗な追求が開始されるが、彼らの行く手には、巧妙なアリバイ工作、鉄壁の密室などが複雑に絡み合った“犯罪連立方程式”が立ちはだかるのだった……。果して、その解答はあるのだろうか? 著者の代表的本格推理小説!
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Posted by ブクログ
これは掘り出し物でした。
なんか笹沢左保って多作で(単行本200以上!)2時間ドラマっぽい話を書く人って、未読のくせに勝手な印象を持っていました。でも、どこかの誰かが泡坂妻夫の『妖女のねむり』と共にオススメにあげていたので読んでみることに。
港での男女の密会に始まり、ミス・コンテストの最終予選に勝ち残った5人の美女たちが次々に狙われていく。20代女性の描写や小道具、風俗に昭和の香りがプンプン(昭和35年作)。少し不安になってきたところで〈捜査一課特捜班ノ章〉にさしかかり、「おっ、これは舐めてはいかんのでは」と膝を正して読み進めました。
密室、アリバイ、ちりばめられた伏線。解決もけっこう本格。
しかし、なにより全編をつらぬく大仕掛け。
実は、怪しいやつの目星はついてて半分は正解だったのですが、この仕掛けにはまいりました。現実問題、そんなにうまくいくかなってちょっと思いますが、気合い充分、ミステリへの志にやられました。
ラストにもちょっとしたサプライズがあって、因果を感じます。
『霧に溶ける』は笹沢左保の長編2作目だそうですが、笹沢先生、舐めててすいませんでした。