あらすじ
東京からカラフトに向かう船中で、椹秀助は首吊り死体を発見した。が、再び現場に戻った時には死体が着ていたはずの洋服は消え、なぜか下着姿になっていた。被害者の名は藤子義介。貿易会社社長で、彼の持ち船はその劣悪な労働条件から「人喰い船」と呼ばれていたという。事実、船員の中には彼に恨みを持つ者もいた。しかし、椹と同室の呪師霊太郎が見せた推理は全く意外な方向へ……(「人喰い船」)他五篇を収録。
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Posted by ブクログ
[人喰い船]★★☆
下着姿の死体が発見されたが、その後のある瞬間背広を着ていたという目撃者がいるのはなぜか?というのが最大の謎なんだろうけど…。
被害者を箱詰めにして船に乗せ、犯人は被害者になりすまして乗船し、殺害後は3等船室の乗客に紛れ込んでいた。死体が背広を着ていたのは、犯人が仕立屋であったために、死体が着ていたはずの衣服が体にあっていなかったと言われるのが許せなかったため、寸法を合わそうとしていたから。論理的には一応無理なく説明がつくけど、それほど驚きはない。見せ方の問題だけかもしれないけど。
一方で、呪師霊太郎にトリックよりは人間の心理に興味があると言わせているわりには、安芸子は「わたくしはべつにどなたでもかまいませんの。その時点でわたくしをもっとも欲しがっている殿方でしたらどなたでも…」と言うだけで、犯人も「わしが許せなかったのは、藤子があの女を手に入れたあと、わしを出入り差し止めにしたことだ。わしの仕立てた洋服よりも、あんな女のほうを選んだことが、断じて許せなかったのだ」と言うだけだから、それほど驚くこともなかった。とか言いながらこの話読んでいて一駅乗り過ごしたわけだから、あんまりえらそうなこと言えないけど。
[人喰いバス]★★☆
バスの中から酔っぱらい以外の人が全て消えたっていうから、どんな凄いことが起こったんだろうって期待したのに…。しかも計画的な殺人ですらないっていうのがなあ。警察に犯人を捕まえさせない探偵ってことで、わざとねらってハズしてるのかもしれないけど、真相が判ってビックリしないミステリーはやっぱりダメでしょう。2つ続けて変装というか偽装ネタだったのもマイナス。
[人喰い谷]★★☆
-ひとりの女に、ふたりの男だ。なにをどうあがいても無理というものだ!
-なによりも弥生さんの気持ちを大切にするべきじゃないのか。弥生さんには何の罪もないのだから。
うーん、また途中でネタがわかってしまった。この会話をホモと見るのはそれほど難しいことじゃない。ランプがなくなった理由が<邪恋谷>に二人を誘い込む罠のためだったというのは気がつかなかったけど、それはどちらかというと小さい問題だよなー。
[人喰い倉]★★☆
殺人を自殺に見せるために密室が作られるのではなくて、ただの自殺を密室だと思わせるための論理を構築するという話の流れには、作者のひねくれ方が伺えるけど、まさしく他愛もない密室なのがね。人間って、手首を切ったあとに何かを飲み込むことができるのか?っていうのも疑問。
本格推理としての完成度を高めるというよりは、人情話になってきたな。
[人喰い雪まつり]★★★
もうトリックと呼べるものはないから、推理小説とは言えないと思うけど、雪女が死んだ夫を氷の橇に乗せて生き返らせるという昔話(ホントにこういうバリエーションがあるのかどうかはわからん)に絡めた悲しい結末はなかなかいい。
[人喰い博覧会]★★★
出たメタ。そうきたかー。「宝石泥棒Ⅱ」と同じですね。なんちゃって作戦。こうなってくると、ここまではわざしょぼい話を書いてたんじゃないかとさえ思うよな。犯人がことごとく警察に捕まってない理由もこれでわかった。
これまでの事件の登場人物が次々と登場してくるに従って、最後の大オチに対する期待が高まっていったけど…。なんだよ、メタなだけじゃないかよ。霊太郎が、実際に起こった事件と雑誌に連載されていた話との間の違和感から、現在の秀助の心境を推理するところとか、もっと突っ込んで欲しかった。